・子供に読みにくい名前を付けてしまった
・子供の名前が姓名判断で悪かった
・夫が一方的に出生届を提出した
出生届の提出後、ご夫婦から赤ちゃんの名前を改名したいという御相談をよく頂きます。
子供の名前のことでノイローゼ、鬱状態になられている方もいます。
お名前の事でお悩みでしたら、初回相談は無料ですので、ご夫婦で抱え込まれないで、お気軽に氏名変更相談センターへご相談下さい。
この記事では「赤ちゃんの改名手続き」について記載しております。
※次のような記事もございます。ご参考下さい。
「キラキラネームを改名するには?」
「出生届の書き方を解説|提出期限は守らないといけない?」
「名付けの決め手、理由を3000人にアンケート」
「子供の名前の改名方法を0歳から18歳まで年齢ごとに解説」
目次
赤ちゃんの改名について
戸籍の名前は変えられるの?
戸籍上の名前を変更する事は可能です。
変更するには次の手続きが必要となります。
①家庭裁判所にて名前の変更許可を得る
②市役所に変更の届出を行う
②市役所への変更届出は提出すれば問題なく変更されますが、①家庭裁判所の手続きは、申立をしても必ず名前の変更が認められるというわけではありません。
家庭裁判所の詳しい手続きは後述します。
将来、改名して不利になる事は?
子どもの名前を改名した場合、将来子どもに何か不利になることはあるのでしょうか?
子どもの名前を改名しても、法律上、不利益を被るようなことはありません。
改名した場合、戸籍に改名の事実が記載されるのみです。
ただし注意が必要な点としては「改名したことで子供の生活環境が変わる可能性があること」や「子供が改名の事実を知った場合、どのような心理的な影響を受けるか」という点です。
読みにくい名前だから変更した、姓名判断を理由に改名したなど理由によって子どもが受ける影響は様々かと思います。
そのような事もふまえた上で、将来、子供のためになると判断した場合、自分を信じて手続きを進めていく気持ちを持つ事も大事なのかもしれません。
改名後、戸籍はどうなるの?
名前を改名した場合、戸籍には次のように記載されます。
【名の変更日】令和〇年〇月〇日
【従前の記録】
【名】〇〇〇
改名した場合、戸籍には改名前の名前も記載されます。
改名前の名前を戸籍に載せない方法は?
①戸籍の転籍をする
改名後、転籍届をすることで、新しい戸籍には前の名前は載らず次の内容が記載されます。
【名の変更日】令和〇〇年〇〇月〇〇日
ただし、転籍届をしても、転籍前の戸籍が無くなる訳ではないので、転籍前の戸籍には、従前の氏名が記載されます。
転籍の手続きについては「転籍とは?本籍地の変更手続きを解説」をご参考下さい。
②戸籍訂正の手続きをする
出生届の名前を間違えた場合など、一定の条件を満たしている場合、「戸籍訂正許可の申立」を行うことができます。
「名の変更申立」ではなく「戸籍訂正許可申立」を行った場合は、転籍後の新しい戸籍には訂正した旨は記載されません。
戸籍訂正後の戸籍の見本は「戸籍訂正許可後の戸籍の見本」をご参考下さい。
改名で多い理由は?
赤ちゃんの名前は、どのような理由で改名することが多いのでしょうか?
改名する理由には次のようなものがあります。
・読みにくい名前を付けてしまった
・出生届の期限に焦ってしまった
・夫が勝手に出生届を提出した など
その他の詳しい改名理由は「赤ちゃんの名前を改名する5つの理由」にまとめております。ご参考下さい。
出生届の提出後、名前の訂正や取り消しはできる?
出生届を提出した後でも、子供の戸籍が作られる前であれば、役所によっては出生届の名前を訂正させてくれる場合がございます。
一方で出生届の提出後、戸籍ができた後で名前を訂正するには、家庭裁判所で「名の変更許可申立」または「戸籍訂正許可申立」を行う必要があります。
夫や妻が勝手に出した出生届は無効?
本来であれば、出生届の提出も共同親権行使の対象であり、一方の同意のない提出は無効と言えますが、判例等の取り扱いでは、出生届の提出により様々な法律関係が形成されるため「一方の独断の提出であっても出生届自体を無効とするのではなく、名前について問題がある場合は、名の変更・訂正申立で対応する扱い」になっております。
一般に、出生した子の名の命名は父母の共同親権事項と解すべきであるが、出生届の届出義務者について戸籍法五二条一項が「父又は母」と定め、双方届出主義を採つていない関係上、父母の一方による他方の意思に反しての命名に基づく子の出生届がなされることも事実上起こり得ないではなく、そうした場合でも、ひとたび右届出が行われ戸籍への記載がなされた以上、これを前提として種々の法律関係が順次形成されていくものであることから見て、かかる届出の効力自体を否定するのは、もとより相当ではない。
昭和57年11月29日/山形家庭裁判所鶴岡支部/審判/昭和57年(家)371号
出生届は期限内にしないといけないの?
出生届には提出期限がありますが、名の届出のみ後日提出する方法もございます。
ただし役所によって対応が異なる場合がございますので、事前に役所にご確認ください。
その他、出生届に関する内容は「出生届の書き方を見本付きで解説|必要書類や提出期限の対策は?」をご参考下さい。
いつ改名したらいいの?
赤ちゃんの名前を変更する場合、「すぐに家庭裁判所へ改名の申し立てをする」のと「通称の実績を積んでから改名の申し立てをする」のは、どちらがいいかよくご相談を頂くのですが、「赤ちゃんの場合、原則できるだけ早く申し立てをする方が良い」です。
※通称名については「通称名とは?」をご参考下さい。
理由は2つあります。
まずお子様の年齢が幼い場合、改名による社会的な影響は少ないとして、名前の変更許可が得やすいためです。
次に通称実績のために改名できていた状態が変に年齢を重ね変更できなくなってしまう可能性があるからです。
通称名の実績を積むために通称名を周りに認知してもらうための準備に時間がかかったりせっかく通称の準備をしても通称資料が少なかった場合などのようなことがあり、可能性を下げてしまう場合があります。
他の事務所の考えがあるかとは思いますが、氏名変更相談センターでは、3、4歳以下のお子様については通称実績が無く改名許可を得ておりますので、手続きをされる方は早めにされることをお勧めします。
簡単に改名は認められるの?
戸籍の名前を変更した人の体験談に「簡単にできました!」「申し立てをしたら面談など無くすぐに許可がおりました!」など書かれていることがあります。
戸籍上の苗字や名前が変更できたことは嬉しいことなのですが、ご注意頂きたいのは「簡単に変更できた人もいるが、それが全員に当てはまるわけではない」ということです。
管轄の裁判所や裁判官によっても手続きの進め方は異なってきます。弊所では赤ちゃんの名前変更の申立てをされ却下となってからご相談を頂くことも多くあります。
そのため「改名の手続き=簡単」とは思わず慎重に進めて頂ければと思います。
改名後はどんな名前がいいの?
基本的に変更後のお名前は読みやすいお名前が好ましいです。
ただし読みにくい名前でも改名理由が正当であれば変更は可能です。
また他の方がどのように名前を決められているかも参考にされてもよいかもしれません。
「赤ちゃんの名前の決め方は?3000人にアンケート」にて皆さんが赤ちゃんの名前をどのように決めているのかを記載しておりますのでご参考下さい。
赤ちゃんの改名手続き
戸籍の名前を改名するためには、家庭裁判所で「名の変更許可申立て」を行う必要があります。詳しい手続きの流れを解説します。
どこで手続きするの?
改名の手続きをする家庭裁判所は、住所地の家庭裁判所となります。
申し立てをする家庭裁判所が、どこになるかは「改名手続きの管轄一覧」をご参考下さい。
費用・料金は?
家庭裁判所で改名の手続きをするためにかかる費用・料金は次の通りです。
1.収入印紙800円
2.郵便切手200円~1500円ほど
※家庭裁判所での実費です。交通費、郵送費、戸籍謄本代などは除いております。
郵便切手の金額は裁判所によって異なります。
郵便切手の金額を調べられたい方は、「【全国版】改名手続きでの郵便切手金額一覧」をご参考下さい。使用しなかった切手は、手続き後返却されます。
郵便切手の金額一例
管轄家庭裁判所 | 郵便切手の金額 |
東京家庭裁判所 | 500円×2枚 110円×7枚 |
札幌家庭裁判所 | 110円×3枚 |
名古屋家庭裁判所 | 500円×2枚 110円×10枚 10円×10枚 |
大阪家庭裁判所 | 110円×5枚 |
福岡家庭裁判所 | 500円×2枚 110円×7枚 |
令和6年12月更新。支部によっても金額は異なります。
必要な書類は?
家庭裁判所で名前変更の手続きをする場合、次の書類が必要です。
・申立書
・申立人の戸籍謄本
・収入印紙・郵便切手
※名の変更の理由を裏付ける資料は基本的にはありません。
申立書
こちらは家庭裁判所にあげられている申立書の記載例です。
名の変更許可の申立書はこちらからダウンロードすることもできます。
申立書の1P目については、記載例に沿って記載して頂ければ作成できますが、申立理由については慎重に作成する必要があります。
今回の赤ちゃん以外の申立理由などについては、「改名の申立理由15事例!詳しく要点をご案内」をご覧ください。
戸籍謄本
戸籍謄本については、発行されてから3月以内のものが必要です。
本籍地が遠方の方は、戸籍を郵送で取得することも可能です。
「○○役所 戸籍 郵送」と検索して頂ければ、どのように請求すればいいか役所のHPに記載されています。
取得が難しい方は、氏名変更相談センターでも取得をすることが可能です。
名の変更の理由を裏付ける資料
赤ちゃんの名前を改名する場合、名の変更の理由を裏付ける資料というものは、余りありません。
弊所で改名の申し立てをする際も基本的には添付しておりません。
通称の資料もあるのであれば、提出すればいいですが、通称の実績を作っていく事よりも、改名することが決まっているのであれば、早い段階で改名の申立てをされて下さい。
名の変更の理由を裏付ける資料がない以上、申立理由にどのように記載するのかが重要になってきます。
期間・日数は?
上記の内容は、あくまで名古屋家庭裁判所での目安期間です。
一般的な期間は下記の通りですが、地域によって期間は異なり、コロナウイルスの影響などで半年以上かかっている裁判所もあります。
一般的な期間:10日~45日
1.家庭裁判所へ申立準備:1日~7日 ※①
2.家庭裁判所の手続き:7日~30日 ※②
3.役所の手続き:1日~7日 ※③
※①戸籍謄本の取得、申立書の作成等
※②照会書の提出、審問、審判書の通知等
※③戸籍謄本の取得、氏・名の変更届の提出等
照会書や審問などの詳しい家庭裁判所の手続きについては、こちらをご参考下さい。
認められやすい理由は?
過去の判例で変更の許可がおりた理由や認められやすい理由としては、次のような理由があります。
・出生届出の名前に誤りがあり、家庭裁判所に申立てをするまで日数があまり経過していない
・両親のどちらかの独断で出生届出が提出された
・子供の名前が相手の元恋人と同じ名前だった
・出生した当時、子供の名前が人名用漢字別表に掲載されていなかったため使用できなかったが、後日使用できるようになった
・近隣に同姓同名の子供が住んでいる
・名前が原因で夫婦仲が悪化している
・読みにくい名前(キラキラネーム等)をつけてしまい後悔している
・名前が原因で鬱状態になっている
※判例の一部抜粋
父が父母間の協議結果と異なる名による出生届をしたとして名の変更許可が申し立てられた事案について、嫡出子の命名については、父母の共同親権行使の原則上、父母間の協議によって行われるべきであり、父母の一方が他方に相談することなく勝手に命名した場合や父母間の協議結果と異なる名の届出をした場合は、他方がこれを追認しない限り、適法・有効な命名があったことにはならないというべきところ、母が追認したことが認められず、また、子の福祉の観点のほか、生後4か月の乳児の名の変更は弊害が少ないことなどを勘案すると、戸籍法107条の2所定の改名の「正当な事由」があるというべきであるとして、申立てを却下した原審判が取り消され、名の変更が許可された事例。
平成12年5月29日/大阪高等裁判所/決定/平成12年(ラ)370号
出生届当時、命名しようとした「湧」の字が人名用漢字別表になかつたため、やむを得ず当用漢字の「勇」を使用して届け出たが、その後の改正により当該漢字の使用が認められるようになつたところから、名の変更を申し立てた事件の即時抗告審において、戸籍法一〇七条の「正当な事由」は、変更の事由の存在という積極的要件ではなく、名の変更を認めても個人の同一性の認識に混乱を生ずるおそれはないという消極的要件があれば認められるとして、原審判を取り消して申立を認容した事例。
平成2年8月15日/高松高等裁判所/決定/平成2年(ラ)43号
子に父の昔の恋人と同じ名を命名し、のちに母にも発覚した場合に、この名を維持させることは、家庭の円満や平和を脅かし、子自身の幸福を阻害する等の理由で、子の改名が許可された事例。
昭和37年5月25日/前橋家庭裁判所沼田支部/審判/昭和37年(家)128号
子の名に用いた文字が当用漢字になかったため出生届が受理されず、やむをえず他の名で届け出られたが、同人の名はもとの名で通っており、戸籍上の名を称すると近隣にいる類似の名の子と混同するおそれがあり、現に右文字が当用漢字になっている場合には、通名への変更は改名につき「正当な事由」ある場合に該当する。
昭和29年6月4日/大阪高等裁判所/第3民事部/決定/昭和27年(ラ)13号
認められにくい理由は?
過去の赤ちゃんの名前の変更の許可が認められなかった判例の理由としては、次の理由などがあります。
・変更後の名前が姓名判断によるもの
・動機が宗教的な親権者の道楽
・通称名を名乗る期間が短いもの
※通称名について詳しいことはこちらをご参照下さい
※判例の一部抜粋
幼児が生後約2年半にわたり使用してきた通名に変更する申立が、改名についての必要性がなく、かつ動機が宗教的理由に基づく親権者の道楽にすぎないとして却下された事例。
昭和35年10月31日/東京家庭裁判所/審判/昭和35年(家)11302号
姓名判断に基づいて、名を変更することはいわゆる「正当な事由」に該当しないものと解するのが相当であり、しかも通称を使用した期間もわずかに6年にすぎないのであるから、名の変更をしなければその社会生活上にとくにはなはだしいさしつかえをきたすものとは考えられないので、「正当な事由」ある場合に該当するものとは認められない。
昭和30年4月30日/福岡高等裁判所/第2民事部/決定/昭和30年(ラ)26号
改名許可後の手続き
赤ちゃんの名前を改名する場合、大人が名前を改名する場合と比べて変更後の手続きは少ないです。あくまで記載している内容は一例です。
1.戸籍謄本、住民票の変更
2.マイナンバーの変更
3.国民健康保険の変更
4.医療証の変更
詳しい手続きの詳細については、こちらをご覧下さい。
お名前変更許可後の手続きを詳細にご案内
また改名後の戸籍の見本などは、こちらの記事をご参考下さい。
分籍や転籍など様々な手続き後の戸籍の見本一覧
まとめ
赤ちゃんの名前を変更するための手続きと注意点について、長い文章をお読み頂きありがとうございました。
赤ちゃんの改名は珍しい事ではなく、悩まれる方も多くいらっしゃるので、「赤ちゃんの名前を変更するなんて非常識じゃないか」とか「取り返しのつかないことをしてしまった」などとご自身を責められないようにして下さい。
冒頭にも記載しましたが、赤ちゃんの名前の事での悩みはご夫婦だけで抱えられず、是非氏名変更相談センター(運営元:司法書士事務所エベレスト)を活用されて悩みを解消されてください。
この記事をお読みになられたご家族の、そしてお子様の幸せな未来を願っております。