赤ちゃんが生まれた際、出生届を提出する必要がありますが、出生届にはどのような事を記載しなければならないのでしょうか?
この記事では、「赤ちゃんの出生届の書き方と注意点」について詳しく丁寧に解説します。
出生届を書かれる方はご参考下さい。
※次のような記事もあります。該当する方はご参考下さい。
「赤ちゃんの名前の決め方を3000人にアンケート」
「赤ちゃんの名付けで後悔した人の5つの理由」
「赤ちゃんの改名手続きを丁寧に解説」
目次
出生届とは?
出生届とは「子供が生まれた際に役所へ提出する書類」のことを言います。
出生届を役所に提出することで、生まれた子供が「戸籍」と「住民票」に記載されます。
外国籍の父母であっても日本国内で出生した際は出生届を提出する必要があります。
出生届について
出生届はどこでもらえるの?
出生届は、基本的には「出産した病院」でもらうことが多いです。
また市役所で出生届をもらうことができますし、このサイトからダウンロードすることも可能です。ダウンロードされる場合、A3サイズの白紙で印刷下さい。サイズが違うものを役所に提出した場合、受付を受理して頂けない可能性がございます。
出生届はどこに提出するの?
出生届の提出先は次のように定められています。
次のいずれかの市区町村の役所
・子の本籍地
・子の出生地
・届出人の所在地
ただし、里帰り出産した場合などは、上記の役所でなく「届出人」の一時滞在先の役所に提出することも可能です。ただし役所としては上記の役所に提出して欲しい所もあるようで提出前には事前に相談しておきましょう。
出生届は誰が提出するの?
出生届をすでに届出人が記入している場合、届出人(父母など)でなくとも会社の人や親族などが提出することができます。
ただし届出人(父母など)以外が出生届を提出する場合、提出時に出生届の誤りがあったとしてもその場で訂正ができないのでご注意下さい。
夫や妻が勝手に出した出生届はどうなるの?
本来であれば、出生届の提出も共同親権行使の対象であり、一方の同意のない提出は無効と言えますが、判例等の取り扱いでは、出生届の提出により様々な法律関係が形成されるため「一方の独断の提出であっても出生届自体を無効とするのではなく、名前について問題がある場合は、名の変更・訂正申立で対応する扱い」になっております。
郵送で提出できるの?
提出の方法は直接持参されなくとも「郵送」で提出することができます。郵送する際は、出生届のみあれば問題なく、本人確認書類のコピーや母子健康手帳などは不要です。
ただし郵送で提出する場合、書き間違えないように事前に役所に記載内容を相談しながら提出しましょう。
出生届の提出期限は?
出生届の提出期限は「子供が生まれてから生まれた日を含めて14日以内」であり、「海外で出産された方は3ヶ月以内」となります。
届出の期日である14日目が役所の休日(土日祝など)の場合、その日以降の最初の開庁日が期日となります。
出生届の提出期限を過ぎてしまった場合
出生届の提出期限を超えて提出してしまった場合、提出が遅れた理由を指定の用紙に記入し提出する必要があります。
遅れた日数や理由によっては、裁判所より過料という罰金を科せられる場合がございます。
出生届の期限内に名前が決めれない場合
弊所では、出生届の期限があるために焦って出生届を提出し、子供の名付けを後悔してしまった、という御相談を多く頂きます。
出生届は名前を未記入で提出し後日、名前を追完で提出することができます。
但し、この場合、一般的に出生届を提出した場合と異なる内容で戸籍が記載され、戸籍には名前が追加で提出された旨などが記載されます。(記載される内容は役所にご確認下さい。)
そのような文言が戸籍に記載されても問題ない方は名前について追完で提出する方法もございます。
追完した旨が戸籍に記載されたくない場合、提出期限は過ぎてしまうかもしれませんが、子供の名前を変更するには家庭裁判所の許可が必要となるため、出生届の名前については十分に検討されてから届出をされることをお勧めします。
「赤ちゃんの名付けで後悔した人が子供の名前を改名した5つの理由」「赤ちゃんの改名手続きを丁寧に解説」もご参考下さい。
提出時に必要なものは?
役所へ出生届を提出する際に必要なものは次の通りです。
持参する際に必要なもの
・出生届と出生証明書
・本人確認書類(運転免許証など)
・母子健康手帳
・国民健康保険証(加入者のみ)
郵送する際に必要なもの
・出生届と出生証明書
(郵送時は本人確認書類などは不要)
母子健康手帳は、必ず必要というわけではないですが、出生届を提出する際に、戸籍担当の人が母子健康手帳にある出生届出済証明を記載してくれるので、できれば持参しましょう。
また出生届に押印した際は印鑑を持参した方がいいでしょうが、令和3年9月1日より印鑑の押印は任意となりましたので印鑑がなくとも届出ができるようになりました。(法務省サイトはこちら)
その他の注意点
子供が生まれた場合、児童手当をもらうことができます。また児童手当は出生してから15日以内に申請する必要があります。そのため子供が生まれた方は忘れずに手続きを行いましょう。(児童手当について内閣府のサイト)
海外で出生する際の注意点
海外で出生届を提出する場合に一番注意が必要なのは、子供の日本国籍を留保する場合、その旨を出生届に記載する必要があることです。詳しい内容は在マイアミ日本国総領事館の記載例をご参考下さい。
出生届の書き方
出生届の用紙には、「出生届」と「出生証明書」が1枚のA3用紙で繋がっており、右側の「出生証明書」については、基本的に出産した際に医師や助産師が記載しますので、父母が記載するのは、左側の「出生届」になります。
出生届の書き方について①~⑫の番号にそって説明をします。
生まれた子の欄
①子の氏名
この箇所は子供に名付けた名前を記載し、この名前が戸籍や住民票に記載されます。
人の名前に使用できる文字は「ひらがな、カタカナ、常用漢字などの漢字」です。
具体的に、どのような漢字が使用できるかは「赤ちゃんの名前に使用できる漢字は?人名用漢字以外の字が使用できた判例付き」をご参考下さい。
また「名前のよみかたについては制限がなく、よみかたは戸籍には記載されません。」
※ただし政府は令和7年5月頃を目途に法改正をし、戸籍に読み仮名を登録する方針です。
詳しい内容は「戸籍に読み方が登録される?」をご参考ください。
そのため、名前を今鹿(なうしか)、本気(りある)などと読ませる方もいます。
名前の漢字には制限があり、読み方については制限がないという、少し不思議な状況になっています。
②父母との続き柄
生まれた子供が嫡出子かどうか、男女のどちらかをチェックします。
長男や長女など続柄を記載するために男、女のチェック欄の前に「長」「ニ」「三」などと記載します。
嫡出子とは?
嫡出子とは「婚姻中の夫婦の間に生まれた子供」を言います。
一方、非嫡出子とは「婚姻中でない男女の間に生まれた子供」を言います。
ただし、例外的に婚姻中でなくとも父母が離婚した後300日以内に生まれた子供は「前婚者との間に生まれた嫡出子」として扱われます。
非嫡出子の場合の出生届の記載例はこちらからダウンロードすることができます。
③生まれたとき、生まれたところ
この箇所については、出生届の右側にあります医師等が記載した出生証明書の内容を参考にそのまま記入ください。
生まれたときについて、夜の12時は午前0時、昼の12時は午後0時と記入して下さい。
生まれたところは、出生場所の住所を記入して下さい。病院で生まれた場合は病院名でなく病院の住所を記入して下さい。
④住所
この住所は子供を住民登録する住所を記入します。また「世帯主」を記入しますが、「世帯主」と「筆頭者」は別々のものです。
「世帯主」とは、一つの住民票の中に記載されている世帯の代表者です。
「筆頭者」とは、戸籍の最初に記載される方です。
生まれた子の父と母の欄
⑤父母の氏名、生年月日
父、母の名前、生年月日、年齢を記入します。
嫡出子でない場合、父の欄は空白にします。
⑥本籍
父母の本籍地を記入します。外国人の場合、国籍のみ記入します。
本籍が分からない場合、本籍地付きの住民票を取得することで本籍地が分かります。
「筆頭者」とは、戸籍の最初に記載される方です。
離婚後300日以内の嫡出子の場合
父母が離婚し300日以内に出生した子供については、本籍、筆頭者を父母が婚姻していた当時の内容を記入します。
この場合、父母は離婚していますが子供は婚姻当時の戸籍に入籍することになります。
⑦同居を始めたとき
同居を始めたとき、結婚式をあげたとき、どちらか早い方を記載します。
同居の時期が不明な場合は、この箇所は空白で問題ありません。
同居、結婚どちらもしていない場合は「未」と記入します。
⑧子が生まれたときの世帯の主な仕事と父母の職業
この箇所も該当する箇所にチェックをします。
公務員の方は4にチェックを入れます。
父母の職業を記入するのは国勢調査を行う年に生まれた場合に限ります。
国勢調査とは?
国勢調査とは、ざっくり説明すると、国が5年に一度行う人口や世帯数などの大規模な調査のことを言います。
前回の国勢調査は2020年でしたので、次は2025年4月1日から2026年3月31日を予定にされるので、その期間に子供が生まれた方は職業を記入する必要があります。
父母の職業の書き方
国勢調査の年に該当し、職業を記載する必要がある場合、次のように記載します。
・医師・教員など…「専門・技術職」
・一般事務員など…「事務職」
・販売店員・営業職従業者など…「販売職」
・美容師・ホームヘルパーなど…「サービス職」など
詳しい書き方は厚生労働省のHP(こちら)をご参考下さい。
⑨その他の欄
嫡出子でない場合
子供の父または母が戸籍の筆頭者でない場合、新しい戸籍を作る必要があるため、この欄に新しい本籍地など次のように記載します。
母(または父)につき新戸籍を編製
新本籍 大阪府○○○○
日本国籍を留保する場合
海外で日本の出生届を提出する場合、日本国籍を留保する旨を記載していない場合、日本国籍を喪失してしまう可能性がございます。
海外で取得する出生届には日本国籍留保する欄がありますので、日本国籍を留保する場合は必ず署名をしておきましょう。
国籍留保や二重国籍については「二重国籍者の国籍選択の手続き、苗字・名前の変更方法」をご参考下さい。
出生証明書の名前と違う場合
海外で出生した場合など出生証明書と違う名前を戸籍に登録する場合、「その他」欄に次のように記載します。
子の名については、出生証明書には「フアン 太郎」と記載されているが、戸籍には「太郎」と届け出る。
届出人の欄
⑩届出人
出生届に記載する「届出人」は、子供の父、母になりますが、父母の届出が不可能な場合は、同居者、出産立会人(医師など)の順序に従い、届出人を記載します。
父母の一方が届出をする場合、どちらかにチェックを入れ、父母の両方が届出をする場合、父、母それぞれにチェックを入れます。
⑪住所、本籍
届出をする方の住所と本籍を記載します。本籍が分からない場合、本籍地付きの住民票を取得することで本籍地が分かります。
⑫署名
届出をする人が署名し生年月日を記入します。夫婦のどちらかのみの記入でもいいですし、夫婦連名ですることもできます。
夫婦連名で記入する場合、下の画像のように枠外に署名し生年月日を記入します。
令和3年9月1日より印鑑の押印は任意となり押印がなくとも届出ができるようになりました。(法務省サイトはこちら)
夫婦連名にするメリット
出生届を夫婦連名にする場合と父、母どちらかの単独の届出にする違いは次の通りです。
①戸籍に記載される内容が変わってくる
②出生届の受理証明書などを夫婦どちらもが取得できる
①戸籍に記載される内容が変わってくる
誰が届出をしたかは戸籍に記載されます。上記の戸籍以外の見本については「戸籍謄本の見本一覧」をご参考下さい。
②出生届の受理証明書などを夫婦どちらもが取得できる
戸籍の記載には日数がかかるため、出生届の証明が必要な時などに「出生届の受理証明書」を発行する場合がございます。
この出生届の受理証明書は「届出人」か「届出人から委任を受けた人」になるため、例えば母のみが届出をした場合、父が出生届の受理証明書を取得する場合、母からの委任状が必要となり少し手間になります。
出生届の受理証明書が必要となる場面がなく父母のどちらかが忙しいということであれば、どちらかの署名でいいと思いますし、受理証明書が必要となる可能性がある場合は、父母の連名で提出されておいた方が無難かもしれません。
(出生届の受理証明書について:大阪市のサイト)
出生届が不受理となった場合
戸籍法上、認められていない漢字を使用したため出生届が受け付けてもらえなかったなど出生届の不受理処分がされた場合、その処分に対して不服申し立てをすることも可能です。過去の判例では、この不服申し立てにより、子供に使用したい文字が認められた判例もございます。そのため、役所の処分にどうしても納得できない方は不服申し立てをするのも一つの方法です。
戸籍法施行規則60条に定める文字以外の文字を用いて子の名を記載したことを理由とする市町村長の出生届の不受理処分に対する不服申立事件において、家庭裁判所は、審判手続に提出された資料、公知の事実等に照らし、当該文字が社会通念上明らかに常用平易な文字と認められるときには、当該市町村長に対し、当該出生届の受理を命ずることができるとされた事例
平成15年12月25日/最高裁判所第三小法廷/決定/平成15年(許)37号
まとめ
出生届の書き方や記載されている内容について詳しく記載させて頂きました。
出生届を記載される方はご参考下さい。
子供の名前の改名についてご相談をご希望の方はお気軽に司法書士事務所エベレスト大阪へご相談下さい。