苗字、名前の改名手続きに関する情報というのは、あまり多く出回っておりません。

そのため氏名変更相談センターが改名業務の相談を受ける中で、誤った準備をしていたために、改名できなかったという方が多くいます。

この記事は、そのような事が無くなるよう改名したい方が正しい知識を得て頂くために作成しました。少しでも参考になれば幸いです。

苗字、名前の改名手続きを家庭裁判所で行う際に、重要となるのは「申立理由」です。
それでは、どのような申立理由であれば改名は許可されるのでしょうか?

※改名手続きの詳しい流れは「苗字・名前の改名手続きを丁寧に解説」をご参考下さい。

改名の要件は?

ポイント

苗字・名前を変更するには家庭裁判所から「やむを得ない事由」「正当な事由」があると判断してもらう必要があります。

「氏の変更」 戸籍法第107条

やむを得ない事由によって氏を変更しようとするときは、戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。 

「名の変更」 戸籍法第107条の2

正当な事由によって名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。

それでは、家庭裁判所は、どのような観点から「やむを得ない事由」や「正当な事由」があると判断するのでしょうか?

裁判所のHPでは「やむを得ない事由」とは「氏の変更をしないとその人の社会生活において著しい支障を来す場合」を言い、「正当な事由」とは「名の変更をしないとその人の社会生活において支障を来す場合」としており「単なる個人的趣味,感情,信仰上の希望等のみでは足りない」としております。

また過去の判例では、次のような観点からも判断されています。

改名のポイント

・改名の動機の正当性
・改名の必要性
・改名による社会的影響

つまり、認められる改名理由というのは、
「氏または名前で社会生活において(著しい)支障を来している」「改名の動機が正当である」「改名の必要性が高い」「改名による社会的影響が小さい」ものになります

この記事であげている「認められやすい理由」「どちらとも言えない理由」「認められにくい理由」は、あくまで一般的な傾向ですので最終的には上記の観点で判断されます
この記事は参考資料の一つとしてご参考下さい

認められやすい改名理由

通称名へ変更

郵便2

改名で代表的な申立理由が通称名を理由とする変更です。

通称名とは?

通称名(つうしょうめい)とは、「戸籍上の名前でない世間一般において使用しており、通用している名前」のことをいいます。
通称名を省略して「通名」や「通称」と言われることもあります。
戸籍上の氏名を改名するために、この通称名を使って変更をされる方が多いです。

通称名に変える要件は?

戸籍上の名前を通称名に変更するには、次の点がポイントになります。

通称名へ変更するための要件

①通称名を長い年月使用している
②通称名を広い範囲(友人、親族、会社等)で使用している
③動機に正当性がある
④通称名が難読、奇妙な名前ではない

他のポイント等については「通称名とは?通称の使用できる範囲や通名資料などを解説」をご参考下さい。

①通称名を長い年月使用している

通称名は長い間使用している必要があります。
名前であれば、5年以上、氏(姓)であれば、10年以上が目安となってきます。改名をする方の年齢や他の事由などを考慮して、5年、10年以下でも変更できる時はありますが、基本的には、名前5年、苗字10年と思って頂ければと思います。
裁判所へは昔から使用していることが分かる資料を提出する必要があります。
なので、通称名の資料は大事に保管しておきましょう。

資料の例としては、次のものがあります。

通称名の資料一例

・公共料金の明細
・年賀状
・手紙
・結婚式の招待状、席次表(座席表)
・注文書・納品書
・成績表
・卒業証書
・メール
・契約書(契約相手には通称名であることを伝えておきましょう)
・名刺
・会社パンフレット
・新聞、地域紙(自分のことが掲載されているもの)
・健康保険証(会社が通称名で登録してしまうと発生します)

②通称名を広い範囲(友人、親族、会社等)で使用している

戸籍上の名前を通称名に変更するには、通称名が広く認知されている必要があります。

通称名をAmazonや楽天などのネットショッピングだけで使用していても、周りに認知されているとは言えないので、変更できる可能性は低くなります。

可能な限り、親族、職場、友人、近隣の人たちなど広い範囲で通称名を使用し、証拠となる通称名の宛名がついた書類を準備していきましょう。

③動機に正当性がある

通称名を使用し始めた動機も正当なものが求められます。
過去の判例でいえば、姓名判断や暴力団からの離脱などのようなものは認められません。
認められやすい理由の例は、読みにくい名前であったなど、原則、正当な事由が求められます。

④変更後の通称名が難読、奇妙な名前でない

通称名については、難読であっても変更許可が降りるケースが多いですが、認められなかった判例もあります。
できる限り、読みやすい通称名にされることをお勧めします。
昭和40年4月7日/浦和家庭裁判所熊谷支部/審判/昭和40年(家)800号

通称名を今から名乗られる方や、通称名を理由として改名の申立をされる方は上記の点についてご注意頂ければ幸いです。

通称名を理由とする例文

申立書記載例
⇧クリックして拡大

こちらは家庭裁判所HPの申立書記載例です。
通称名を理由に端的に申立理由が記載されております。
申立をされる方の事情によって記載内容が変わってきますので、あくまで参考程度にして頂ければ幸いです

通称名の詳しい内容は「通称名とは?通称の使用できる範囲や通名資料などを解説」もご参考下さい。

旧姓・結婚時の姓へ変更

離婚

旧姓に戻されたい、婚姻時の姓(氏)に変更されたいというのも、改名をされる際の代表的な申立理由です。
こどもが学生のため、迷惑をかけないように婚姻時の氏を使っていたが、高校を卒業するので、旧姓に戻すことにされたなど様々な事情があると思います。
旧姓・婚姻時の姓(氏)にされる際にどういった点に注意して手続きをすればいいのでしょうか?

離婚をすると苗字はどうなるの?

離婚をすると苗字は次のようになります。

離婚後の苗字はどうなるの?

「結婚時、苗字を変えていない人」
…離婚後、苗字はそのまま(変わらない)

「結婚時、苗字を変えた人」
…原則:婚姻前の姓(旧姓)に戻る
…例外:離婚日から3カ月以内に「婚氏続称の届出」を役所に提出することで、婚姻時の姓を名乗ることができます
※離婚相手の同意は不要です

結婚した際、筆頭者となり苗字を変えなかった人は、離婚しても苗字に変更はありません。
一方で「結婚した際、相手の籍に入り苗字を変えた人は、離婚時に苗字を、婚姻前の姓(旧姓)に戻すか結婚時の姓を継続するか選択する必要があります」。

詳しい内容は「離婚後、苗字はどうなる?苗字を変えない方法、旧姓に戻す手続きを解説」をご参考下さい。

家庭裁判所の許可なく、旧姓、婚姻時の氏に変更できるときとは?

許可なく変更できるケース

・婚姻時に配偶者の氏に変更する場合

・結婚により姓(氏)を変更した者が、離婚して旧姓に戻す場合

・結婚時の氏を離婚後も名乗り続ける場合
(期限:離婚日から3か月以内)

・配偶者が死亡した後、旧姓に戻す場合
(期限:なし)

上記以外で、婚姻時の氏・旧姓に変更する際は家庭裁判所の許可が必要となります。

親と子どもが違う苗字を名乗る際の注意点

「子供は婚姻時の姓(氏)を名乗り、親は旧姓を名乗る場合」
「子供は旧姓のままで、親が婚姻時の姓(氏)を名乗る場合」
など、子供と親が違う苗字を名乗る際に注意頂きたい点があります。

それは、親と子どもが同じ戸籍にいる状態で、親が旧姓・婚姻時の氏に改名すると子どもも親と同じ旧姓・婚姻時の氏になってしまうということです。

親と子どもどちらも同じ苗字にされたい場合は、問題ありませんが、別々の苗字にされたい際は、事前にこどもに分籍の届出をしてもらう必要があります。
分籍の届出についてはこちらをご参考下さい。
分籍の届出について

分籍の届出を済ませておくことによって、親と子どもが別々の苗字を名乗ることが可能です。

必要な書類は?

改名に必要となる一般的な書類は、こちらをご参考頂ければ幸いです。
旧姓・婚姻時の氏に変更される際、現在の戸籍謄本に加えて、旧姓時、婚姻時に作成された戸籍謄本(除籍謄本・改正原戸籍謄本)までのものが必要となります。
また15歳以上の子どもが、同じ戸籍にいる場合は、その子どもの同意書も必要となります。

氏変更 同意書
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婚姻時の氏から旧姓へ変更する申立書記載例

申立書記載例 旧姓
⇧クリックして拡大

こちらは家庭裁判所HPの申立書記載例です。
旧姓へ変更する際の申立理由が記載されております。
申立をされる方の事情によって記載内容が変わってきますので、あくまで参考程度にして頂ければ幸いです。(2回婚姻された方が旧姓に戻される場合など記載は異なってきます。)

旧姓に戻す詳しい手続きは「離婚後しばらくしてから旧姓に戻すには?苗字変更の手続きを丁寧に解説」もご参考下さい。

子供の苗字を父や母の苗字と同じ苗字に変更

子ども親

離婚をしても、子どもの戸籍は変わりません

子どもがいる状態で離婚をした場合、離婚により父母のどちらかの新戸籍ができたとしても自動的に子どもの戸籍も親権者の戸籍に入る訳ではありません。
親が離婚し、子どもがどちらか一方の親と同じ苗字に変更する際には、「子の氏の変更許可の申し立て」又は「氏の変更許可の申し立て」が必要になります。
こちらも代表的な申立理由です。
詳しい内容についてはこちらをご参考下さい。

申立てをする人は?

家庭裁判所で子の氏の変更申立ができるのは、次の方です。

申立できる人

・子供
・法定代理人(親権者等、子が15歳未満の場合)

子が15歳未満であれば、子供が家庭裁判所へ出廷等する必要なく法定代理人(親権者等)のみで全ての手続きに対応できます。

必要な書類は?

必要となる書類は、次の通りです。

必要書類

①申立書
②申立人の戸籍謄本(3か月以内)
③父母の戸籍法謄本(3か月以内)
※父母の離婚の場合、離婚の記載があるもの
④収入印紙・郵便切手
⑤同意書(入籍先に15歳以上の者がいる場合)

必要書類の詳しい内容は「子の氏の変更手続きを丁寧に解説」もご参考下さい。

子どもが成人後に元の氏に変更する場合

父、母などの法定代理人により「子の氏の変更許可申立」がされ、その子が成年に達してから1年以内であれば、役所へ届出をするだけで変更前の氏にすることが可能です。

子供が父、母と同じ姓(氏)に変更する申立書記載例

子の氏 変更申立書
⇧クリックして拡大

こちらは家庭裁判所HPの申立書記載例です。
申立をされる方の事情によって記載内容が変わってきますので、あくまで参考程度にして頂ければ幸いです

親と同じ苗字に変更する手続きは「子の氏の変更手続きを丁寧に解説」もご参考下さい。

赤ちゃんの改名

赤ちゃん

赤ちゃんの名前は、出生してから14日以内に出生届出を提出する必要があるため、慌てて届出をした後に赤ちゃんの名前を改名されたい方の相談を多く頂きます。
難しい名前にしてしまった、キラキラネームのような名前であることに気が付いた、姓名判断をしたらよくない名前だったなどなど。
赤ちゃんの改名する場合、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?気を付けるポイントを次の通りです。

赤ちゃんの改名のポイント

1.申立時期
2.申し立ての動機
3.夫婦間の同意

1.申立時期

赤ちゃんの名前を改名する場合に一番大事になってくるのが、申立時期です。
赤ちゃんの改名の申立ては、早ければ早いほどいいです。
改名による社会的影響の程度が少なくなるからです。
年齢が3歳を越えた後で、赤ちゃんの頃の事情を理由に変更するのは苦しくなってきます。
できれば、1年以内に申立てをすることが好ましいです。

2.申立の動機

申立ての動機が恣意的なものだと認められにくくなります。

認められにくい動機

・姓名判断をしたら悪い字画だった
・赤ちゃんの事で悪いことばかり起こり、原因は名前の運気にあると思うから
・著名人と同じ名前にしたい
・通称名を理由とする場合(期間が短いため)

反対に次のような理由場合、変更が認められやすいです。

認められやすい動機

・難読な名前をつけてしまい後悔している
・出生届の記載を誤った字で提出した
・名前が原因で夫婦仲が悪化している
・近隣に同姓同名の子がいる

3.夫婦間の同意

赤ちゃんの名前を改名する場合、申立人は両親又は親権のある親になります。
離婚後の赤ちゃんの名前を改名する場合、離婚した相手の同意は必要ありませんが、婚姻状態である場合は、配偶者の同意が必要となってきますので、どちらか一方が勝手に申し立てをすることはできません。

赤ちゃんの改名をする場合は、早い段階で申し立てをすることが大事になってきますので、その点だけご留意ください。

赤ちゃんの改名手続きは「赤ちゃんの名前を変更するには?出生届後の子供の改名手続きを解説」もご参考下さい。

外国人配偶者の苗字に変更

外国夫婦

家庭裁判所の許可なく外国人配偶者の氏に変更できる場合は?

配偶者が外国人と同じ姓(氏)に変更する場合、次の場合は家庭裁判所の許可なく役所への届出のみで変更できます。

許可なく改名できる場合

・外国人と婚姻後6か月以内に外国人の姓(氏)に変更する場合
・外国人と離婚して3か月以内に元の姓(氏)に戻す場合

根拠条文:戸籍法第107条第2項,3項

複合姓への変更を含め上記以外の場合は、家庭裁判所の許可を得なければ、姓(氏)を変更することができません。

詳しい内容は「外国人と国際結婚した人の苗字・名前の変更手続きを丁寧に解説」もご参考下さい。

日本に来て手続きをしないといけないの?

海外在住の方が苗字を変更される場合、日本に来て、戸籍謄本を取得し、苗字の改名許可を得て、パスポートの変更をするとなるとなかなかの労力になります。
そのような方はパスポートを受け取るときのみ来日すればいい方法もあります。
その内容については、こちらをご覧下さい。
【来日不要】外国在住の日本人が名前を変更するには?

性同一性障害による改名

LGBT

性同一性障害(GID)を理由に改名する際、どういったポイントを注意すればいいでしょうか?

改名のポイント

1.診断書が発行されている
2.変更後の名前を使用しているか

1.診断書が発行されているか

性同一性障害(GID)を理由に改名の申立てをする場合、性同一性障害(GID)であることの診断書が必要になります。

診断書 性同一性障害
診断書はどうすれば取得できるの?

診断書は主に精神科が主な病院で、カウンセリングに基づいて発行されます。
取得にかかる費用や日数も病院によって異なり、即日で発行されるところもあれば、何回か通う必要がある病院もあります。
診察料金を除いて診断書だけの費用では3000円~6000円ほどが相場のようです。
精神科医といっても様々ですので、性同一性障害(GID)の診断書の取得には専門知識を有する病院を選択されましょう。

診断書は改名の申立て以外にも、性別の戸籍変更、性別適合手術、ホルモン治療の際などに必要になってくることがあります。

診断書以外に、どういった書類を提出すればいいの?

性同一性障害(GID)の診断書に加えて、身体的治療(ホルモン療法、精巣摘出)をしている、また将来する予定であることが分かる書類があれば、改名許可の可能性は高くなります。

2.変更後の名前を使用しているか

性同一性障害(GID)の場合でも、実際に変更後の名前(通称名)を使用している必要があります。しかし、判例からみて、その期間自体は余り求められていません。1年ほど使用していれば問題ないでしょう。

性同一性障害(GID)を理由とする改名に関する他のポイント、過去の判例等はこちらをご参考下さい。
GID・トランスジェンダーを理由に名前を変えるには?

僧侶で長年活動している

僧侶

神官・僧侶になったことを理由に申立てをすれば改名ができるという記事などがありますが、必ずしも出家をすれば改名ができるというわけではありません。
寺の人であれば、改名の手続きの煩雑さを理解しているので、子どもの出生時に法名(僧名)で届出される方もいらっしゃいます。

神官や僧侶を理由に改名する際、次の点がポイントになります。

改名のポイント

1.宗教活動が社会活動の主要面を占めているか
2.実生活において、法名、僧名の実績があるか

その他、細かなポイントについてはこちらをご覧下さい。
法名、僧名を理由とする名前の変更について

1.宗教活動が社会活動の主要面を占めているか

神官、僧侶になった後も在家出家など、特段、日常生活、社会生活上になんら具体的変動がない場合、宗教活動が主とした社会生活をしていない場合、改名を認められない可能性があります。

2.実生活において、法名、僧名の使用実績があるか

神官、僧侶になった後も、その期間が短い場合は却下されている判例は多くあります。得度証明書はもちろん、日ごろから法名(僧名)として活動していることが分かる書類は残しておきましょう。
また、日常生活においても法名(僧名)を使用している日付の入った資料は保管しておきましょう。
資料についてはこちらをご参考下さい。

このように出家をすれば、改名できるわけではなく、それぞれ要件があります。
出家により、改名の申立てをされる方はご注意ください。

同姓同名の人が身近にいる

双子

同姓同名による改名をする場合、どのような点がポイントになってくるのでしょうか?単に有名人と同じ名前ということだけでは、名前の変更は厳しいです。

改名のポイント

1.家族、近隣、職場など生活をするうえで、近い人と同姓同名
2.同姓同名の犯罪者、被疑者がおり、差別や中傷などにあっている

1.家族、近隣、職場など生活をするうえで、近い人と同姓同名

同姓同名で改名をするには、それにより社会生活をするうえで支障をきたしている必要があります。
同じ県に同姓同名の方がいるであったり、違う職場で同姓同名の人がいるなどでは、改名をすることが難しく、郵便番号まで同じ住所で郵便物などがよくご配達されてしまい困っているなど、同姓同名の方と近い関係にある必要があります。

2.同姓同名の犯罪者、被疑者がおり、差別や中傷などにあっている

有名人と同姓同名というだけでは厳しく、ニュースなどによって犯罪者、被疑者が取り上げられ、たまたまその人と同姓同名であったために、いじめにあったり、友人や仕事先などで新しい関係を築いていくときに、犯罪者と勘違いをされたりされるなど、支障をきたしていることが必要となります。
同姓同名に関する他のポイント、過去の判例等はこちらをご参考下さい。
同姓同名、類似名を理由とする名前の変更について

どちらとも言えない改名理由

母や父の旧姓に変更

お墓

子供が母方の親族で母の苗字を名乗るものがいなくなり姓が途絶えてしまうため母親の旧姓に変更したいという相談を頂くことがあります。
家族構成や母親の旧姓で引き継ぐ事業があるなど状況によるので、どちらとも言えない改名理由としております。

母親や父親の結婚前の旧姓に変更する方法としては次のような方法があります。

苗字の変更方法と主な違い

①引き継ぎたい姓を名乗っている親族と養子縁組
…確実に苗字を変更できる
…養子が相続人となる

②家庭裁判所で「子の氏の変更許可申立」を行う
…③と比べると認められやすい
…手続きできる人が限られている

③家庭裁判所で「氏の変更許可申立」を行う
…筆頭者であれば手続きができる
…変更するには「やむを得ない事由」が必要

どの手続きを行えばいいのかについては「母の旧姓に変更するには?苗字を親の旧姓に変える方法」をご参考下さい。

認められるためのポイントは?

次の点が親の旧姓に変更するためのポイントとなります。

認められるためのポイント

・子と親が同居している
・子と親が生計を共にしている
・亡くなった親が引き継ぎたい苗字を名乗っていた
・変更する苗字を戸籍上名乗っていた期間がある
・子がお墓を引き継いで行く必要がある
・子が親の事業を引き継ぐ
・戸籍上、過去に長期間、引き継ぎたい苗字を名乗っていた
・亡くなった親が引き継ぎたい苗字を名乗っていた
・通称名の実績がある

その他、必要な資料や詳しい内容は「母の旧姓に変更するには?苗字を親の旧姓に変える方法」をご参考下さい。

夫婦の苗字を妻の旧姓に変更

夫婦

結婚した際は夫の姓に変更したが、数年して奥様の旧姓に変更したいという相談を頂くことがあります。この内容も結婚した時期や親と同居しているかなど状況によるためどちらとも言えない改名理由としております。

認められるためのポイントは?

次の点が妻の旧姓に変更するためのポイントとなります。

認められるためのポイント

・妻の親と同居している
・夫が過去に妻の旧姓を名乗っていた(妻の親族と養子縁組をするなど)
・結婚当時、夫婦のどちらかが強引に苗字を決めた
・相手の苗字に変更することが結婚の条件となっていた
・婚姻後、それほど日数が経っていない
・妻がお墓を引き継いで行く必要がある
・妻が親の事業を引き継ぐ
・通称名の実績がある

その他、必要な資料や詳しい内容は「結婚後、離婚せず夫婦の苗字を妻の姓に変更する手続き」をご参考下さい。

帰化後に苗字を変更

帰化

帰化とは?

帰化(きか)とは「日本国籍のない外国人が、日本国籍を取得すること」を言います。

認められるためのポイントは?

次の点が帰化後に苗字を変更するためのポイントとなります。

認められるためのポイント

・帰化して日が短い
・外国人のような苗字のため差別的な対応を受ける
・外国人のような苗字のため手続きなどに時間を要する
・日本風の苗字の人と同居している
・帰化前の名前を長年名乗っている
・通称名の実績がある

その他、必要な資料や詳しい内容は「帰化後に帰化前の名前や日本風の苗字に変更する方法」をご参考下さい。

キラキラネーム・読みにくい・異性に間違えられる名前

子ども名前

キラキラネームや奇妙、読みにくい名前を理由とする場合、その名前がどの程度の読みにくい、奇妙であるかで変わりますので、どちらとも言えない改名理由としております。

王子様という名前の改名で話題になったキラキラネームはこちらの「奇妙な名前・難しく読みにくい」に該当します。キラキラネームなど、通称名と違い証拠で立証していくのではなく、申立理由で、改名の必要性をしっかりと説明しないといけないので、申立理由の記載が重要になってきます。

認められた名前・認められなかった名前

認められた名前

王子様・州璋(クニアキ)・五八・肴屋・盈雄(みちお)

認められなかった名前

馬茂(うましげ)・清吉・朝映・コトラ・富岡岡富・トラ・耀男(アキオ)・王白石・簾(ミス)

この他にもたくさんの事例はあると思いますが、過去の判例に記載されているものは上記のものです。
キラキラネーム等奇妙な名前、難読を理由とする場合、どういった点を注意して申立すればいいのでしょうか?

改名のポイント

・名前によって被っている被害・不都合について
・改名後の名前が読みやすいもの

名前によって被っている被害・不都合

キラキラネームなど奇妙な名前、難読を理由とする場合は、その名前によって被っている被害などを説明する必要がります。
例えば、女性なのに男性のような名前であることや、両親のどちらかが独断で命名したことにより家庭の仲が悪化している、低俗さをイメージさせるなど様々です。

改名後の名前が読みやすいもの

キラキラネームなど奇妙な名前、難読を理由とする場合、変更後の名前までキラキラネームなどになってしまうと許可がされにくくなります。
通称名の実績などを積み上げられる場合、奇妙な名前、難読でないような通称名にしていきましょう。

名前の読み方を変更する場合は?

キラキラネームにおいて漢字はそのままで読み方だけ変えたい場合は、家庭裁判所の許可なく手続きができます。
市役所によっては、電話で読み方を変えたいことだけ伝えれば変更できるところもあります。

その他、詳しい内容は「キラキラネームを確実に改名するには?」「珍しい苗字を変えるには?」をご参考下さい。

認められにくい改名理由

姓名判断など占いによる改名

占い

お名前を改名される方で、姓名判断等占いを原因として名前を変更されたい方は多くいます。しかし、これを主な理由とすると認められにくくなります。家庭裁判所は姓名判断等占いを理由に改名する場合、その改名の動機が正当な事由に当たらないとしています。
上記の認められやすい理由をもとに申立てをされた方がいいです。
最初にあげた9つの認められやすい理由に当てはまらない場合は、通称名で実績を作って、改名の申立てをしましょう。

姓名判断等占いを理由に変更する場合の過去の判例等はこちらに記載しております。
姓名判断による名前へ変更するには?

犯罪歴等を隠すため

警官

弊所にご相談頂く中でもこちらを理由に改名をされたい方が一番多いです。
実際に実刑などを受けていなくても、逮捕されたニュースはネットなどに残りますので、いくらそのネットの情報を削除しても、結局は全てを消すことができずに改名を希望される方が多いです。
就職ができないなど、実際に名前によって被っている被害は大きいのですが、家庭裁判所としては、更生を促進する側面よりも社会的に支障をきたす側面が強いとして、犯罪歴等を理由に改名を認めておりません。

犯罪歴を理由とする改名についての記事はこちらもご参考下さい。
犯罪履歴を理由とする名前の変更及び対策について

名前に精神的な苦痛を感じる

苦痛

名前に対して様々な原因で精神的苦痛を感じることがあります。

親からつけられた名前に対して嫌気がさしている。
親からDVを受けており、名前を呼ばれるだけで親の事を思い出してしまう。
自分の名前が嫌いで精神的に苦痛を感じている。
ネットで自分の名前がさらされて嫌になっている。

など様々な理由により、精神的な苦痛を感じますが、あくまで精神的な苦痛は結果であって、大事なのはその精神的苦痛の原因となっていることです。
名前が単に嫌で精神的な苦痛をうけているだけでは、仮にそれに対して診断書があっても改名できる可能性は低いです。
過去に親からの性的虐待によって精神的な苦痛を原因として改名が認められた判例はあります。
精神的な苦痛を理由として改名の申立てをする場合は、もととなる事実をしっかりと立証しましょう。

精神的な苦痛を理由とする改名の判例等はこちらに記載されております。
精神的苦痛を理由に名前を変更するには?

親との縁を切りたい

親との縁を切りたいという理由で名前を変更することは難しい傾向にあります。
親との距離を取られたい方などはこちらをご参考下さい。
親との縁を切るには?改名方法と身元を隠す対策を解説

僧侶の活動年数が短い

出家をすれば改名ができるという訳ではありません。
形式上、出家しただけや、生活の主要部分が神官、僧侶で、年数が短い場合は神官、僧侶を理由とする改名は難しくなります。
上記の記事かこちらをご参考下さい。
法名、僧名を理由とする名前の変更について

事実婚の妻が、夫の苗字に変更

不倫

婚姻している男性と婚姻相手でない内縁の妻が一緒に暮らしており、その内縁の妻が子供の事を考えて、自分の姓(氏)を男性と同じにしたいという相談を頂くこともあります。
このような場合、次の点がポイントとなってきます。

改名のポイント

1.男性と配偶者の夫婦関係が破綻している又は死亡している
2.配偶者の同意がある
3.通称名の実績がある
4.内縁の妻と夫が共同生活をしている

これらのポイントを満たしているから変更できるという訳ではありませんが、このような要件を満たした場合、認められた判例はあります。
内縁の妻が、婚姻関係に影響を及ぼすような改名ではないこと、改名をする必要性があることなどが求められます。

ただし、内縁の妻が、男性の相手である配偶者から理解を得られることが少ないため、認められにくい申立理由とさせて頂きました。

内縁の妻が、男性と同じ苗字に変更することについての判例等についてはこちらをご参考下さい。
内縁(未婚)の妻が、夫の苗字に変更する場合

氏、名の変更申立以外の改名方法

養親が死亡した場合に元の旧姓に戻す場合

養子縁組をしている場合に、養親がお亡くなりになっても自分の養子縁組が自動的に解消したり、苗字が旧姓に戻るわけではなく、離縁手続きを取らなければなりません。

養親が死亡した後に養親と離縁をする場合は、死後離縁の手続きが必要です。
死後離縁の手続きをすることによって、元の苗字に戻すこともできますし、7年以上養子であった場合、養親の苗字を名乗ることもできます。
また、死亡した後に死後離縁の手続きをしても、相続人の地位に影響はありません。
その他、死後離縁に関する内容は「死後離縁の手続きの流れ」をご参考下さい。

その他、家庭裁判所の許可を得ずに苗字を変更できる手続きは「氏・名の変更のお手続きの流れ」をご参考下さい。

まとめ

苗字・名前を変更する際の注意点をそれぞれの申立て理由ごとに記載させて頂きました。法令の変更や、新たな実例などにより、この記載内容も変わっていくと思います。その都度、記事を更新させて頂きます。

また、こちらは氏名変更相談センターが記載している申立理由の記事一覧です。
ご参考下さい。

※読み方や字体を変更方法は、「苗字・名前の読み方の変更方法」「戸籍の漢字を俗字、正字に変える方法」をご参考下さい。

大変長い文章を読んでいただきありがとうございました。
この記事が氏(姓)、名前の改名手続きの一助になれば幸いです。

 

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