日本人が外国人と国際結婚した場合、子供の苗字と戸籍はどうなるのでしょうか?
この記事では「外国人と国際結婚した場合、子供の戸籍と苗字がどうなるのか」と「ハーフの子供が外国の親の苗字を名乗る方法」について記載しております。
※次のような記事もございます。ご参考下さい。
「国際結婚した日本人夫婦の苗字の変更方法」
「子供の苗字を複合姓に変更する方法」
「日本人が戸籍にミドルネームを追加する方法」
「外国人の養子になった日本人の改名方法」
「出生証明書の取得方法を種類別に解説」
目次
国際結婚後の子供の苗字・戸籍について
苗字はどうなるの?
「子供の苗字は、基本的に日本人の親と同じ苗字」になります。
国際結婚した夫婦の子供は、日本の役所に出生届を提出することで日本の親の戸籍に入籍します。
そのため、日本では原則、生まれた子供の苗字は、日本の親の苗字となり、戸籍も日本の親と同じ戸籍になります。
日本の親が外国人配偶者の苗字を名乗っている場合、子供も外国人の苗字となりますが、夫婦別姓で日本の親が外国人配偶者の苗字を名乗っていない場合、出生届の段階で子供の苗字を、いきなり外国人の親の苗字にすることができません。
なお、子供の苗字を日本と海外で統一する必要はないので、子供の苗字を日本では日本の親の苗字に、海外では外国の親の苗字にされている方もいます。
外国の親の苗字に変更する方法
日本の親が外国人の苗字を名乗っていない状態で、子供が外国の親の苗字を名乗るには、「家庭裁判所の手続き」が必要となります。
詳しい手続きは、後述の「外国人の親の苗字に変更する方法」にて記載します。
戸籍はどうなるの?
上の見本のように国際結婚した場合、日本人の親と子供の戸籍はできますが、外国人配偶者の戸籍はできません。
日本人配偶者の婚姻の箇所に外国人配偶者の情報が記載されるのみです。
また戸籍について子供の箇所には次のように記載されます。
身分事項:出生
【出生日】令和●年●●月●●日
【出生地】▲▲▲
【届出日】令和●年●●月●●日
【届出人】父 又は 母
※日本国籍以外の国籍を取得した場合、次のような文言も記載されます。
【国籍留保の届出日】令和●年●●月●●日
※本籍地と違う役所、領事館へ届出した場合、次のような文言も記載されます。
【送付を受けた日】令和●年●●月●●日
【受理者】■■市長、■■総領事
そもそも戸籍がどうようなものかについては「戸籍とは?戸籍謄本の見本で記載される内容を解説」をご参考下さい。
子供の苗字を変更したら戸籍はどうなる?
子供の戸籍は①親子で外国人の苗字に変更する場合と②子供のみ外国人の苗字に変更する場合とで内容が異なってきます。
①親子で外国人の苗字に変更
…親子の戸籍のまま、苗字の記載のみ変更
②子供だけが外国人の親の苗字に変更
…子供の単独戸籍ができる
親子が同一戸籍にいる状態で、日本人の親が外国人の苗字に変更した場合、子供も苗字は変更され、日本人の親と子が別々の戸籍になることはありません。
一方で、子供が15歳未満であっても、子供だけが外国人の親の苗字に変更した場合、子供の単独戸籍ができ、日本人の親とは別々の戸籍となります。
外国人の親の苗字に変更する方法は?
子供の苗字を日本人の親の苗字から外国人の親の苗字に変更するには、家庭裁判所で「氏の変更許可申し立て」の手続が必要となります。
※「子の氏の変更申し立て」ではありません。
詳しい手続きの流れは「【完全版】苗字・名前の改名手続きの流れ」もご参考下さい。
誰が行うの?
子供だけ外国の親の苗字に変更する場合
…子供が申立を行う
※子供が15歳未満の場合、親権者等の法定代理人が手続きを行う
戸籍の全員が外国の親の苗字に変更する場合
…日本国籍の戸籍の筆頭者が申立を行う
子供だけが外国人の親の苗字に変更する場合、子供が申立人となり手続きを進める必要があります。
子供が15歳未満で両親が手続きを進める場合でも、あくまで子供の代理人として行うので、申立人は子供です。
また両親が手続きを行う場合、外国人の親と日本人の親が一緒に手続きを行います。
一方、戸籍にいる全員が苗字を変更する場合、筆頭者が申立人となり手続きを進めます。
どこで行うの?
原則:申立人の住所地を管轄する裁判所
例外:日本に住所がない場合
→ 日本での最後の住所地を管轄する裁判所
再例外:申立人が日本に一度も住所を置いていない場合
→ 東京家庭裁判所
家事事件手続法:第226条,4条,7条、家事事件手続規則:第6条
生まれてから一度も日本に住所を置かなければ、管轄は東京家庭裁判所となります。
家庭裁判所の管轄については、「改名手続き家庭裁判所管轄」をご参考下さい。
海外在住の場合、日本に何回行かないといけないの?
海外在住の方が、日本で行う改名申立から改名許可後までの手続きは、次の通りです。
①戸籍謄本、住民票等の取得
※日本に在住していない方は、日本に住所があったことを証明する書類も必要になります。
②家庭裁判所への申立
③家庭裁判所での面談
※氏・名の変更届、パスポートの変更届、パスポートの受け取りは海外の日本国大使館、領事館ですることが可能です。
海外に在住している方が名前を変更するために、日本に来て改名手続きをするのは、かなりの負担となります。
弊所にご依頼頂いた場合、日本でお客様にして頂く手続きを次のようにすることができます。
・家庭裁判所での面談
※面談も多くの場合、省略することができます。
海外在住の日本人の方は、氏名変更相談センターをご活用ください。
変更は認められやすいの?
子供の苗字を外国人の親の苗字に変更する申し立ては、比較的に認められやすい傾向にあります。
過去の判例
父外国人、母日本人である子からなされた戸籍法107条4項に基づく母の氏から父の氏に変更する旨の許可申立が認容された
昭和60年11月11日/東京家庭裁判所/審判/昭和60年(家)9937号
必要な書類は?
・申立書
・申立人の戸籍謄本
・収入印紙・郵便切手
※外国人の親の通称氏に変更する場合
・外国人の親が通称氏を使用している資料
(通称登録されている住民票など)
※日本に居住していない場合
・日本の最後の住所地が分かる証明書
(除籍された住民票等、日本の郵便物等)
申立書
外国人の親と同じ苗字に変更する場合、「子の氏の変更許可申立」ではなく「氏の変更許可申立」になります。
申立書は、こちらからダウンロードすることができます。
戸籍謄本
戸籍謄本は、3か月以内に発行されたものを提出します。
海外に在住されている方など、戸籍の取得が厳しい方は、氏名変更相談センターで代行取得することも可能です。
郵便切手・収入印紙
家庭裁判所で氏、名前を変更するのに、必要な費用としては次の収入印紙・郵便切手代のみです。他に必要となってくる費用はありません。
1.収入印紙800円
2.郵便切手200円~1500円ほど ※
3.許可後に収入印紙150円
※申し立てをする裁判所によって郵便切手の金額は異なります。
【全国版】改名手続きで家庭裁判所に提出する郵便切手金額一覧をご参考下さい。
※外国人の親が通称氏を使用している資料
戸籍に記載のない外国人の親の苗字(通称氏など)に変更する場合、その苗字を使用していることが分かる資料が必要となります。
役所で通称登録されているのであれば、その住民票などを添付します。
その他の資料としては次のようなものがあります。
・通称登録されている住民票
・公共料金の明細
・年賀状
・手紙
・結婚式の招待状、席次表(座席表)
・注文書・納品書
・成績表
・卒業証書
・メール
・契約書
・名刺
・会社パンフレット
・新聞、地域紙(自分のことが掲載されているもの)
・健康保険証(会社が通称名で登録してしまうと発生します)
※日本の最後の住所を証する書面
海外に居住の日本国籍の方が、名字、名前を改名する場合、日本の最後の住所地が手続きを管轄する家庭裁判所になりますので、最後に日本のどこに住んでいたかを証明する必要があります。
最後の日本の住所地の役所に、住民票を請求すれば、住まいは海外でも住民票は発行してくれます。
日本の最後の住所地の記載がある住民票が欲しい旨を伝えなければ、単純に海外に住所がある住民票が発行される場合があるので、ご注意ください。
また5年以上前に海外へ住所を移した方は住民票を発行できない可能性がありますので、その場合、戸籍の附票を請求します。
氏名変更相談センターでは、住民票等の取得も代行で対応しております。
必要な方はご相談下さい。
改名許可後の手続き
無事に改名することができた後はどういった手続きをする必要があるのでしょうか?
一般的には次のような手続きをする必要があります。
1.戸籍謄本、住民票の変更
※住所が日本にない方は、改名許可後の戸籍の変更届を本籍地の役所へ提出することになります。
2.マイナンバーの変更
3.健康保険、年金の変更
4.パスポートの変更
5.印鑑登録の変更
6.運転免許証の変更
7.銀行等の口座名義の変更
8.クレジットカード等の名義変更
9.不動産登記の変更
10.生命保険、医療保険等の変更
11.車検証、自賠責保険等の変更
住所が日本にない方は、改名許可後の戸籍の変更届を本籍地の役所へ提出することになります。
改名許可後の手続きについては、こちらで詳細に記載しておりますので、ご参考下さい。
改名許可後の手続きについて
まとめ
国際結婚された子供の戸籍と苗字について解説させて頂きました。
子供の苗字を変更したい、親子で苗字を変更したいなど、改名のご相談はお気軽に氏名変更相談センターを運営しております司法書士事務所エベレストまでご相談下さい。