弊所では、「毒親」との関係を切るために名前を変更したいという相談を頂くことがございます。

それでは、「毒親」を理由に戸籍の名前は変更できるのでしょうか?

この記事は「毒親の意味と毒親がつけた名前の変更方法」を掲載しております。

※次のような記事もございます。ご参考下さい。
親と縁を切る8つの方法
キラキラネームを改名するには?
通称名とは?通称の使える範囲や通名実績など解説

毒親とは?

毒親とは、毒になる親の略で「悪影響を子供に及ぼす親」「子どもが厄介と感じるような親」という意味合いで使用されます。

毒親に悩んでいる方の相談例

親が毒親の方は、どのようなお悩みを持たれるのでしょうか?

弊所への相談内容には次のようなものがあります。

両親からは貯金していたお金を窃盗された。暴力を受けた過去がある。

毒家族から受けた虐待とモラハラのせいで対人恐怖症、パニック障害、鬱病、過呼吸を患ってます。

両親に幼い頃から「女の名前は考えていなかったから適当に付けた」「画数が悪いのをわかっていて付けた」などと言われ続け、小学生のときには明確に自分の名前への嫌悪感がありました。

毒親と分籍し苗字と名前を改名しバレないように過ごしたいです。今の苗字も名前も呼ばれるだけでフラッシュバックし辛く、怖くなり日常生活に支障をきたしてます。

毒親の子供からの相談は多く、悩みを持たれる方も多いです。

それでは、戸籍上、毒親からつけられた名前を改名することは可能なのでしょうか?

戸籍上の名前を変更するには?

裁判

まず、戸籍上の名前を改名するには、次の手続きが必要となります。

改名に必要な手続き

①家庭裁判所にて名前の変更許可を得る
②市役所に変更の届出を行う

②市役所への変更届出は提出すれば問題なく変更されますが、①家庭裁判所の手続きは、申立をしても必ず名前の変更が認められるというわけではありません

家庭裁判所での改名手続き(費用・書類・期間・流れなど)について詳細に知りたい方は、どこよりも詳細にこちらの記事に記載しております
【完全版】苗字・名前の改名手続きの流れ!変更許可のポイントは?

簡単に改名できるの?

それでは、毒親がつけた名前であれば、簡単に改名をすることができるのでしょうか?

法律上、名前の変更には次の条件を満たす必要があります。

「名の変更」 戸籍法第107条の2
正当な事由によって名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。 

つまり、家庭裁判所から正当な事由があると認められなければ、改名は却下されます

改名するためのポイント

ポイント!

家庭裁判所は、どのような観点から「正当な事由」があると判断するのでしょうか?

過去の判例等から、次のような観点で判断されています。

過去の判例での改名許可の判断ポイント

・改名の動機の正当性
・改名の必要性
・社会生活において支障を来している
・改名による社会的影響

ただし毒親のみを理由にする場合、名前の変更許可は下りにくい傾向にあり、改名できるかは他の観点等を総合的に判断していく必要があります。

例えば、毒親がつけた名前がとても読みにくい場合は、読みにくいという点も主張していきます。

どのような改名理由があるかは改名理由改名コラムをご参考下さい。

特に使われる申立理由として「通称名を長年名乗っている」ケースが多くあります。

通称名とは?

通称名(つうしょうめい)とは、「戸籍上の名前でない世間一般において使用しており、通用している名前」のことをいいます。通称名を省略して「通名」や「通称」と言われることもあります。

通称名を長年使用することで、「戸籍上の名前を通称名に変更できる可能性」があります。
基本的に高校生以下の学生の方は通称名の実績を3年ほど、成人した人は通称名の実績を5年ほど積んで頂け得ればお名前は変更しやすくなります。

詳しい内容は「通称名とは?通称の使える範囲や通名実績などを解説」をご参考下さい。

通称名の資料としては、次のようなものがございます。

通称名の資料一例

・公共料金の明細
・年賀状
・手紙
・結婚式の招待状、席次表(座席表)
・注文書・納品書
・成績表
・卒業証書
・メール
・SNS(LINEやFacebookなど)
・契約書(契約相手には通称名であることを伝えておきましょう)
・名刺
・会社パンフレット
・新聞、地域紙(自分のことが掲載されているもの)
・(国民)健康保険証

却下された場合

NO

万が一申し立てが却下されてしまった場合は、どうすればいいのでしょうか?
方法としては次の方法があります。

 

・却下の判決をうけてから2週間以内に即時抗告の申立てをする方法

 

・通称名の実績を積み上げて再度申し立てる方法

 

詳細な内容については、こちらの記事をご覧ください。
改名を取下げるべき?却下された場合は?

改名許可後の手続き

無事に改名することができた後はどういった手続きをする必要があるのでしょうか?
一般的には次のような手続きをする必要があります。

許可後の手続き

1.戸籍謄本、住民票の変更
※住所が日本にない方は、改名許可後の戸籍の変更届を本籍地の役所へ提出することになります。
2.マイナンバーの変更
3.健康保険、年金の変更
4.パスポートの変更
5.印鑑登録の変更
6.運転免許証の変更
7.銀行等の口座名義の変更
8.クレジットカード等の名義変更
9.不動産登記の変更
10.生命保険、医療保険等の変更
11.車検証、自賠責保険等の変更

改名許可後の手続きについては、こちらで詳細に記載しておりますので、ご参考下さい。
改名許可後の手続きについて

まとめ

毒親がつけた名前の改名手続きに関する内容を記載させて頂きました。

通称名の資料が無いと変更が厳しい場合も多いですが、通称名の実績を積んでいくことで変更の可能性は上がりますので、変更を検討されている方は、まずは通称名の実績を積んで頂ければと思います。

ご自身のお名前が改名ができるかどうかなど、お名前の変更でお悩みの方は弊所にご相談下さい。

 

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