
離婚をすると戸籍はどうなるのでしょうか?
この記事では、離婚後の戸籍謄本を「見本付き」で解説していきます。
※該当される方は次の記事もご参考下さい。
「親権は戸籍にはどう記載されるの?」
「離婚後、しばらくしてから旧姓に戻すには?」
目次
離婚すると戸籍はどうなる?

離婚すると戸籍はどうなるのでしょうか?
この記事では離婚後、戸籍がどうなるかを
「結婚時、名字を変えなかった 山田太郎さん」と
「結婚時、相手の名字に変えた 山田花子さん」
で分けて説明していきます。
結婚時に名字を変えなかった人

結婚時に姓を変更しなかった山田太郎さんは、戸籍の筆頭者であるため、離婚後、新しい戸籍は作られません。
また身分事項には下記の内容が記載されます。

身分事項:離婚
【離婚日】令和●年●●月●●日
【配偶者氏名】山田花子
※本籍地と違う役所へ離婚届を提出した場合、次のような文言も記載されます。
【送付を受けた日】令和●年●●月●●日
【受理者】■■市長
筆頭者の人は、上記以外の内容が戸籍に記載されることはありません。
それでは、結婚時、相手の名字に変更した山田花子さんの離婚後の戸籍はどうなるのでしょうか?
結婚時に相手の名字に変えた人

結婚時に姓を変更し山田太郎さんの戸籍に入籍した山田花子さんは、離婚することで、今現在の戸籍に「除籍」と記載され、戸籍から出ていくことになります。
昔の戸籍では離婚して戸籍から出ていくと名前の上に「バツ(×)」が記載されていましたが、今現在の戸籍では「除籍」と記載されるのみです。

また山田花子さんの戸籍に記載される内容は、離婚後、苗字を「旧姓に戻す場合」と「婚姻時の姓を継続する場合」で記載が異なってきます。
旧姓へ戻した人の戸籍の記載内容
離婚の際、山田花子さんが旧姓に戻した場合、次のような内容が戸籍の身分事項に記載されます。

身分事項:離婚
【離婚日】令和●年●●月●●日
【配偶者氏名】山田太郎
【新本籍】●●●●(本籍地)▲▲▲(筆頭者)
※本籍地と違う役所へ届出した場合、次のような文言も記載されます。
【送付を受けた日】令和●年●●月●●日
【受理者】■■市長
それでは、離婚後、婚姻時の姓を継続した人は戸籍にどのような記載がされるのでしょうか?
離婚後、婚氏を続称した人の戸籍の記載内容
離婚の際、山田花子さんが婚姻時の姓を継続した場合、次のような内容が戸籍の身分事項に記載されます。

身分事項:離婚
【離婚日】令和●年●●月●●日
【配偶者氏名】山田太郎
身分事項:氏の変更
【氏変更日】令和●年●●月●●日
【氏変更の事由】戸籍法77条の2の届出
【新本籍】●●●●(本籍地)▲▲▲(筆頭者)
※本籍地と違う役所へ届出した場合、次のような文言も記載されます。
【送付を受けた日】令和●年●●月●●
【受理者】■■市長
山田花子さんが「旧姓に戻した場合」と「婚姻時の姓を継続した場合」の戸籍の主な違いは、身分事項に「氏の変更」と記載されるかどうか、という点になります。
苗字を変えないのに「氏の変更」と記載される?
離婚後、婚姻時の姓を名乗り続ける場合、身分事項に「氏の変更」と記載されます。
どうして婚姻時の姓を継続するのに「氏の変更」と記載されるのでしょうか?
離婚した際、基本は婚姻前の姓に戻るため、旧姓に戻る際、「氏の変更」と記載されません。
一方、婚姻時の姓を継続した人は、旧姓に戻した後で婚姻時の姓に変更したという扱いになるため、「氏の変更」と戸籍に記載されます。
離婚後の新しい戸籍はどうなるの?

それでは、離婚して結婚時の戸籍から出ていった山田花子さんの戸籍はどうなるのでしょうか?
離婚届には次のような記入欄があります。

つまり、離婚した山田花子さんは「婚姻前の戸籍に戻る」か「新しい戸籍を作る」かどちらかになります。
※次のような場合、婚姻前の戸籍には戻れません。
①婚姻前の戸籍にいた人が全員死亡しているなど戸籍が除籍されている場合
②婚姻時の姓を継続する場合
それでは、離婚して新しい戸籍を作った場合、どのような戸籍になるのでしょうか?
ここでは、「旧姓に戻した場合」と「婚姻時の姓を名乗り続けた場合」に分けて解説します。
離婚後、旧姓に戻した場合
山田太郎さんと離婚した山田花子さん(旧姓:田中)が、離婚して新しい戸籍を作った際、次のような戸籍ができます。

戸籍から出ていった花子さんが筆頭者となり、新しい戸籍の身分事項には次のような内容が記載されます。

身分事項:離婚
【離婚日】令和●年●●月●●日
【配偶者氏名】山田太郎
【従前戸籍】東京都……番地 山田太郎
※本籍地と違う役所へ離婚届を提出した場合、次のような文言も記載されます。
【送付を受けた日】令和●年●●月●●日
【受理者】■■市長
離婚後、婚氏を続称する場合
離婚後、山田花子さんが婚姻時の姓(山田)を継続した場合、次のような戸籍ができます。

こちらも花子さんが筆頭者となり、新しい戸籍の身分事項には次のような内容が記載されます。

身分事項:離婚
【離婚日】令和●年●●月●●日
【配偶者氏名】山田太郎
身分事項:氏の変更
【氏変更日】令和●年●●月●●日
【氏変更の事由】戸籍法77条の2の届出
【従前戸籍】東京都……番地 山田太郎
※本籍地と違う役所へ離婚届を提出した場合、次のような文言も記載されます。
【送付を受けた日】令和●年●●月●●日
【受理者】■■市長
結婚時の姓を名乗り続ける場合のみ、戸籍の身分事項には「氏の変更」と記載されます。
従前戸籍とは?
離婚後の戸籍に記載されている「従前戸籍」とは、前に入っていた戸籍のことを言います。離婚後の戸籍の場合、基本的に「従前戸籍」は、婚姻中の戸籍です。
離婚後、子供の戸籍はどうなるの?


上の戸籍の見本のように離婚しただけでは、子供の戸籍には何の変動もないため、子供の二郎君は自動的に親権者の戸籍に入ることもなく、身分事項にも何も記載はされません。
そのため子供の二郎君を親権者の花子さんの戸籍に入籍させるには、家庭裁判所で「子の氏の変更手続き」を行う必要があります。
離婚後の子供の戸籍がどうなるか、親権者の戸籍に入籍させた場合、どのような記載になるのかは「【見本付き】離婚後、子供の戸籍はどうなる?」をご参考ください。
Q&A
戸籍にバツ(×)は記載される?

昔は離婚などにより戸籍から出ていくと戸籍から出た人の名前の上に「バツ(×)」が記載されていました。
バツイチ、バツ二などの「バツ(×)」とは、この戸籍から出て「バツ(×)」されたことから来ています。

しかしながら、現在の戸籍には離婚をしても名前の上に「バツ(×)」はされず、名前の横に「除籍」と記入をされるだけです。
離婚歴を消す方法、隠す方法は?

戸籍に記載される「離婚」の事実は、「転籍」や「分籍」をすることで新しい戸籍が作成され、新しい戸籍には記載されなくなります。
転籍届・分籍届とは?

転籍届、分籍届を役所に提出することで新しい戸籍が作成されます。
転籍や分籍後の戸籍謄本の見本については「分籍や転籍など様々な手続き後の戸籍の見本一覧」をご参考下さい。
転籍、分籍をすると「離婚」の事実は消えるの?
転籍や分籍をすることで新しい戸籍が作成され、新しい戸籍には「離婚」の事実は記載されません。
ただし、新しい戸籍ができたとしても転籍や分籍前の除籍には「離婚」の事実が記載されています。この転籍や分籍前の除籍の「離婚」の事実は消せないので、分籍や転籍前の戸籍を請求すると「離婚」の記載ある戸籍謄本が発行されます。
また転籍届を提出する場合、本籍地を管轄する役所内で転籍をすると新しい戸籍はできませんので、新しい戸籍を作る場合は、同じ役所内での転籍とならないように注意しましょう。
転籍をしても新戸籍に記載される内容がある

離婚後も婚姻時の姓を続称する選択をされた方は、転籍をしても「氏の変更」の事実は新しい戸籍に記載されます。
そのため旧姓に戻した人が転籍した場合、引き継がれる内容はありませんが、婚姻時の姓を続称した人が転籍した場合、「離婚」の事実は引き継がれませんが、「氏の変更」の事実は、転籍後の新しい戸籍にも記載されます。
離婚日は、いつになるの?

戸籍に記載される「離婚日」は、いつの日付になるのでしょうか?
協議離婚…役所への届出した日
離婚調停…調停が成立した日
裁判離婚…裁判が確定した日 ※
※裁判離婚の場合、離婚日は判決の日ではなく、判決が確定した日になります。
詳しい計算方法は「判決の確定日はいつ?」をご参考下さい。
離婚後の戸籍謄本は、いつ取得できる?
離婚届の提出後、離婚の事実が記載された戸籍謄本は、いつ取得できるのでしょうか?
離婚届出を本籍地の役所に提出
…当日~1週間ほど
離婚届出を本籍地でない役所に提出
…1週間~2週間ほど
※届書等を本籍地の役所へ送付する必要があるため
上記内容はあくまで目安ですので正確な日数を確認されたい方は本籍地の役所へご確認下さい。
まとめ
以上、離婚後、戸籍がどうなるのかを見本付きで解説させていただきました。
※弊所では次の記事もございます。ご参考下さい。
「離婚後、しばらくしてから旧姓に戻すには?」
「離婚後、子供の名前を改名するには?」
弊所では離婚をされた方の改名業務を基本の料金よりお安くして対応しております。
理由としては、離婚後は経済的に厳しい状況になりやすいからです。
離婚後、しばらくしてから旧姓に戻されたい方など、家庭裁判所の手続きについてお悩みがある方は、お気軽にご相談下さい。