外国籍の方と離婚した場合、日本国籍の方の苗字は自動的には変わらず、婚姻前の苗字に変更するには、役所へ「外国人との離婚による氏の変更届」を提出する必要があります。
この記事では「外国人との離婚による氏の変更届の書き方と注意点」について解説します。
※次のような記事もございます。ご参考ください。
「外国人と離婚後、苗字を変更するには?子供の戸籍はどうなる?」
目次
外国人との離婚による氏の変更届とは?
「外国人との離婚による氏の変更届」とは、外国籍の方と離婚した日本人が婚姻前の氏に変更する届出のことを言います。
注意点として、この届出で苗字を変更できるのは、「外国人との婚姻による氏の変更届」を提出して、変更した人に限定されます。
つまり、家庭裁判所の許可を得て苗字を変更した人は、この届で婚姻前の苗字に戻ることはできません。
家庭裁判所の許可を得て、外国人配偶者の姓に変更した人や複合姓にされた方が、婚姻前の苗字に戻るためには、再度、家庭裁判所の許可を得て苗字を変更する必要があります。
どこで届出の用紙をもらえるの?
「外国人との離婚による氏の変更届」は役所でもらうことができますし、このサイトからダウンロードすることも可能です。ダウンロードされる場合、A4サイズの白紙で印刷下さい。サイズが違うものを役所に提出した場合、受付を受理して頂けない可能性がございます。
どこに提出するの?
届出は届出人の本籍地又は所在地(一時的な居所でも可能)の役所に提出します。
提出時に必要なものは?
役所へ提出する際、必要なものとしては「外国人との離婚による氏の変更届」のみあれば問題ありません。
婚姻届などと異なり本人確認書類の提出は不要です。
書類を持参する際に届出書に押印した際は印鑑を持参した方がいいでしょうが、令和3年9月1日より印鑑の押印は任意となりましたので印鑑がなくとも届出ができるようになりました。(法務省サイトはこちら)
役所へ持参して変更する場合、マイナンバーカードや住基カードなどを一緒に持っていくことで同時に変更することができ、何度も役所に行く手間が無くなります。
誰が提出するの?
提出は家族や知り合いなどどなたでも可能です。その際に委任状は不要です。
費用・料金は?
郵送で提出する際に切手やレターパックなど必要ですが、届出自体には費用はかかりません。
郵送で提出できるの?
提出の方法は直接持参されなくとも「郵送」で提出することができます。郵送する際は、本人確認書類のコピーなどは不要です。郵送する際は紛失等が無いように、追跡できるレターパックや簡易書留で送るとトラブルの予防になります。
また郵送で提出する場合、書き間違えないように事前に役所に記載内容を相談しながら提出しましょう。
提出期限は?
離婚の日から3カ月以内となります。
※離婚届と同時に提出もできます。
この離婚の日というのは、例えばアメリカの方式で2023年1月1日に離婚が成立し、日本の形式で2023年6月1日に離婚の届出を提出していた場合、実際に離婚が成立した日は2023年1月1日なので、その日から計算されます。
この離婚の日から3カ月を経過して、婚姻前の苗字に変更する場合、家庭裁判所の許可が必要になってきます。家庭裁判所での詳しい手続きは「国際結婚後の苗字の変更手続きを丁寧」をご参考下さい。
外国人との離婚による氏の変更届の書き方
外国人との離婚による氏の変更届の書き方について、上から順に解説します。
①氏を変更する人の氏名
氏を変更する人のお名前、ふりがな、生年月日をご記入下さい。
お名前は変更前の現在のお名前をご記入下さい。
②住所(住民登録しているところ)
届け出を提出する時点での住所と世帯主の氏名をご記入下さい。
海外に居住している場合でも、住所は日本語で記載します。
具体的な例で言うと「アメリカ合衆国フロリダ州オーランド市オレンジ通り101」などと記載します。
「世帯主」とは、住所地での世帯の代表者です。
③本籍
氏を変更する人の届出時の本籍と筆頭者を記入します。
本籍は住所と異なります。本籍がよく分からない方は「本籍とは?」をご参考下さい。
本籍は本籍地付きの住民票を取得することで確認することもできます。
「筆頭者」とは、戸籍の最初に記載される方です。
④氏
変更前の氏に、現在の氏を記入し、変更後の氏に婚姻前の氏を記入します。
⑤婚姻を解消した配偶者
離婚相手の外国人配偶者の氏名をカタカナで記載します。
こちらも戸籍または離婚届の記載を参考に記載下さい。
⑥婚姻解消の原因
婚姻解消の原因を記載します。
⑦婚姻解消の年月日
婚姻解消した日付を記載します。
例えばアメリカの方式で2023年1月1日に離婚が成立し、日本の役所に2023年6月1日、離婚の届出を提出する場合、婚姻解消した日付は、離婚成立の日なので2023年1月1日になります。
⑧氏を変更した後の本籍
戸籍に子供など他に同籍している人がいる場合にのみ記入します。
⑨その他
基本的にこちらに記載する必要がある人は「子供がいる人」になります。
子供がいる場合、この箇所に「次の人の父母欄の氏を更正して下さい。同じ戸籍にいる長男 一郎、 長女 彩子」などと記載すれば、子供たちの戸籍に記載されている父母欄の氏が変更後の氏となります。
⑩届出人署名
ここは、届出をする本人が変更する前の名前で署名します。
なお令和3年9月1日より印鑑の押印は任意となり押印がなくとも届出ができるようになりました。(法務省サイトはこちら)
3か月を経過して旧姓に戻すには?
離婚後、3か月を経過して旧姓に戻すには、役所の手続きだけでは変更できず、家庭裁判所の手続きが必要となります。
裁判所での旧姓に戻す手続きについては、こちらの記事を参考にしてください。
「離婚後、苗字を旧姓に戻す手続きを丁寧に解説」
まとめ
外国人との離婚による氏の変更届の書き方や注意点について記載させて頂きました。
弊所では家庭裁判所の業務をサポートしており、届出期間の3カ月を過ぎてしまった方など家庭裁判所の手続きでサポートをご希望の方はお気軽にご相談下さい。