・養子縁組した子供の名前を変更したい

・養親の名前の一字を養子につけたい

・養子の名が特徴的なので改名したい

特別養子縁組や普通養子縁組をされたご夫婦が、子供の名前を変更されたいというご相談を頂くことがあります。

実際に養子の名前を変更することができるのでしょうか?

この記事は、養子の名前を改名をしようと思われている方が、実際に改名するための手続き・対策・ポイントなどを掲載しております。

※該当される方は次の記事もご参考下さい。
【見本付き】養子縁組後の戸籍謄本に記載される内容は?
養子縁組後も養子の苗字を変えないでそのままにしておく方法は?
赤ちゃんの名前を確実に改名するには?
子供の改名方法を0歳から18歳まで年齢ごとに解説

改名手続きについて

裁判

まず、養子縁組をした養子の名前を改名するには、次の手続きが必要となります。

改名に必要な手続き

①家庭裁判所にて名前の変更許可を得る
②市役所に変更の届出を行う

②市役所への変更届出は提出すれば問題なく変更されますが、①家庭裁判所の手続きは、申立をしても必ず名前の変更が認められるというわけではありません

家庭裁判所での改名手続きの流れ(費用・書類・期間など)について詳細に知りたい方は、こちらの記事もご参考下さい。
【完全版】苗字・名前の改名手続きの流れ!変更許可のポイントは?

家庭裁判所での手続き

どこで手続きするの?

裁判所

名前の変更申立を行う家庭裁判所は、住所地の家庭裁判所になります。

住所地の家庭裁判所を調べられる方は、「家庭裁判所管轄一覧」をご参考下さい。

手続きを行う人は?

夫婦3

家庭裁判所で名前の変更申立ができるのは、次の方です。

申立できる人

養子が15歳未満の場合
・法定代理人(養親など)

養子が15歳以上の場合
・養子

費用・料金は?

お金

家庭裁判所での費用・料金は次の通りです。

改名にかかる実費

1.収入印紙800円
2.郵便切手200円~2500円ほど 

※家庭裁判所での実費です。交通費、郵送費、戸籍謄本代などは除いております。

郵便切手の金額は裁判所によって異なります。

郵便切手の金額を調べられたい方は、「【全国版】改名手続きでの郵便切手金額一覧」をご参考下さい。使用しなかった切手は、手続き後返却されます。

変更の要件は?

ポイント!

名の変更をするにあたって条文には次のような記載があります。

正当な事由によって名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。

戸籍法第107条の2

つまり名の変更をするには、家庭裁判所から正当な事由があると判断されなければなりません。

そして養子縁組をした子供の名前を変更するために、家庭裁判所から正当な事由があると判断してもらうためのポイントとしては次のようなものがあります。

改名のポイント

①お名前が難読、奇抜、異性と間違えやすい
②申立人のご年齢
③変更理由

①お名前が難読、奇抜、異性と間違えやすい

命名

養子の名前が一般的な名前と比べて読みにくい場合や珍しい、奇抜である場合、それらを理由とすることができます。

ただし、読みにくい等のみを理由とする場合、少し読みにくいような名前では変更許可の可能性は低いものと思われます。

具体的に、弊所が改名申立を行った経験をもとに、どのようなお名前だと難読等と判断されやすいかの基準をご案内させて頂きます。

変更許可の可能性が高いお名前の例

王子様(おうじさま)
琉絆空(るきあ)
姫星(きてぃ)
昊空(そら)

変更許可の可能性が低いお名前の例

心愛(ここあ)
結菜(ゆいな)
悠真(ゆうま)

※記載している名前は、お名前ランキング等をもとにしているお名前ですので、過去のお客様のお名前では、ございません。
また申立理由、年齢、その他様々な事情を考慮して裁判所は正当な事由があるかどうかを判断しますので、こちらの内容だけで変更許可の可能性が決まるというわけではないので、その点ご注意下さい

②申立人の年齢

赤ちゃん

養子のお名前を変更される場合、養子の年齢も1つのポイントとなります。
年齢が幼ければ、それだけ社会的な繋がりも少なく、改名による社会への影響も少ないと考えられるからです。

そのため申立人のご年齢が1,2歳であれば、通称名の実績を積まずとも十分に変更できるご年齢と思われます。
※通称名については、「通称名とは?」をご参考下さい。

③変更理由

申立書

養子の名前を改名する場合、申立書に記載する変更理由も重要となります。
具体的にどのような支障を来しているか、裁判官に変更する必要性があると判断されるような内容を作る必要があります。

どのような理由であれば変更許可されるか、許可されないのかの判断基準として「改名理由を徹底解説!却下される理由、変更許可のポイントは?」をご参考下さい。

必要な書類は?

書類2

名前の変更申立時に家庭裁判所へ必要となる書類は次の通りです。

①申立書

記載例
申立書記載例

こちらは家庭裁判所にあげられている申立書の記載例です。

申立書の1P目については、記載例に沿って記載して頂ければ作成できますが、2P目の申立理由については慎重に作成する必要があります。

②戸籍謄本

戸籍謄本については、発行から3か月以内のものを求められます。

また、本籍地が遠方の方は、戸籍謄本を郵送で取得することも可能です。
「○○役所 戸籍 郵送」とインターネットで検索して頂ければ、請求方法が出てきます。

③名の変更理由を裏付ける資料

名の変更申立をする養子に改名を必要とする資料などがある場合は、そのような資料を提出します。具体的には次のような資料があります。

通称名を使用されている場合
この場合の変更の理由を裏付ける資料としては、昔から今現在まで通称名を使用していたことが分かる書類のコピーを提出します。

通称名の具体的な資料

・公共料金の明細
・年賀状
・手紙
・結婚式の招待状、席次表(座席表)
・注文書・納品書
・成績表
・卒業証書
・メール
・契約書
・名刺
・会社パンフレット
・新聞、地域紙(自分のことが掲載されているもの)
・健康保険証(会社が通称名で登録している場合)

友人・知人・会社関係・公共性の高いものを中心に、年代はまんべんなくご準備ください。

名前が書き間違えられた資料

自分の名前が難読であるため、卒業アルバム、賞状、郵便物などの自分の名前の漢字が間違えられている場合、そのようなものも証拠の資料となります。

資料としては、書き間違えられているものであれば問題ありません。

過去の判例

裁判

古い判例にはなりますが、養子の改名に関する過去の判例を掲載します。

許可の判例

出生後間もない子を引き取り、当初無名と信じて現在の通称名を命名呼称のうえ養育してきた場合に、養子縁組に際し右通名に変更することは「正当な事由」があるものと認める。

昭和36年12月27日/横浜家庭裁判所/審判/昭和36年(家)3251号

不許可の判例

幼児を養子とした養親からなされた養子の名の変更申立に対し、改名の必要性に乏しく、呼称秩序の安定性からいつて戸籍上の名を尊重するのが妥当であり、また養子縁組した場合に養子の名の変更に正当事由があると解するときは、再養子縁組の場合にも同様の問題を生じ、かくては各人の恣意による名の変更をも許容せざるをえないことになるとして申立は是認できないとされた事例。

昭和46年3月4日/仙台高等裁判所/第1民事部/決定/昭和46年(ラ)3号

却下された場合

NO

万が一申し立てが却下されてしまった場合は、どうすればいいのでしょうか?
方法としては次の方法があります。

・却下の判決をうけてから2週間以内に即時抗告の申立てをする方法

・通称名の実績を積み上げて再度申し立てる方法

詳細な内容については、こちらの記事をご覧ください。
改名を取下げるべき?却下された場合は?

改名許可後の手続き

無事に改名することができた後はどういった手続きをする必要があるのでしょうか?
一般的には次のような手続きをする必要があります。

許可後の手続き

1.戸籍謄本、住民票の変更
※住所が日本にない方は、改名許可後の戸籍の変更届を本籍地の役所へ提出することになります。
2.マイナンバーの変更
3.健康保険、年金の変更
4.パスポートの変更
5.印鑑登録の変更
6.運転免許証の変更
7.銀行等の口座名義の変更
8.クレジットカード等の名義変更
9.不動産登記の変更
10.生命保険、医療保険等の変更
11.車検証、自賠責保険等の変更

改名許可後の手続きについては、こちらで詳細に記載しておりますので、ご参考下さい。
改名許可後の手続きについて

まとめ

養子の改名手続きに関する内容を記載させて頂きました。

養子縁組をした養子の名前が改名できるのかなど、弊所にご相談頂ければお答え致しますので、必要であればご相談下さい。

 

氏名変更でお悩みの方は

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