子供が生まれた際、出生届を提出しますが、出生届の名前には、どのような漢字が使えるのでしょうか?
この記事では、「赤ちゃんの名前に使用できる漢字の調べ方」と「人名用漢字以外で子供に使用できた漢字の判例」について解説します。ご参考下さい。
※次のような記事もあります。該当する方はご参考下さい。
「赤ちゃんの名前の決め方は?3000人をアンケート」
「赤ちゃんの名付けで後悔した5つの理由」
「赤ちゃんの改名手続きを丁寧に解説」
「出生証明書とは?」
「出生届の書き方を見本付きで解説」
目次
子供の名前に使用できる漢字は?
人の名前に使用できる文字は「ひらがな、カタカナ、常用漢字などの漢字」になります。
条文には次のように記載されています。
戸籍法施行規則 第60条
一 常用漢字表(平成二十二年内閣告示第二号)に掲げる漢字(括弧書きが添えられているものについては、括弧の外のものに限る。)
二 別表第二に掲げる漢字
三 片仮名又は平仮名(変体仮名を除く。)
使用できる漢字の調べ方は、法務省のサイト「戸籍統一文字情報」(←クリック頂くとサイトが開きます)で調べることが可能です。
それでは実際に「戸籍統一文字情報」で漢字を調べながら使い方を説明します。
戸籍統一文字情報の使い方は?
法務省サイト「戸籍統一文字情報」をクリック頂くと次のような画面が出てきます。
子供の名前に使用できる文字を調べられたい場合、入力頂くのは主に赤枠内となります。
今回、男の子の名前で人気のある「蓮」という漢字を実際に調べてながら説明します。
まず、「読み」の箇所に「蓮」の読みを入力します。読みは音読み、訓読み、どちらでも問題ありません。どちらもの読みを複数入力しても問題ありません。
「蓮」の音読みは「レン」、訓読みは「はす、はちす」なので、ここでは「れん」と入力します。
この読みだけを入力し検索をしても候補の漢字が出てくるのですが、候補の漢字が多すぎるので、「画数」の箇所に「蓮」の画数を入力します。
「蓮」の画数は13画なので、13と入力します。
この画数があいまいな方は、横の「範囲」をクリックすると「±1画」と出るので、「±1画」を選択すると、13画の±1画である12画~14画の範囲で漢字を調べてくれます。
検索頂くと「れん」という読みの「13画」の漢字が表記されます。
この中から該当する「蓮」をクリック頂くと次のようなページが表示されます。
子供の名前に使用できる文字は、「文字区分」という箇所に「子の名に使える文字」「常用漢字」「人名用漢字」のどれかが表示されているものになります。
「蓮」という漢字の「文字区分」を見て頂くと「子の名に使える文字」「人名用漢字」とありますので、この漢字は「名前に使える漢字」であることが分かります。
法律の条文にない名前のルール
親と同じ名前をつけられるの?
条文上に記載はありませんが、過去の判例で親と同じ名前を子供に名付けようとし認められなかったものもございます。
いくつかの役所にも確認しましたが、現状は親と同じ名前は受け付けられないようです。
妻「伸子」との間に生まれた長女の出生届に「伸子」(しんこ)と命名した場合に「伸子」(しんこ)と「伸子」とはまぎらわしい名であって世人が同一戸籍内の「伸子」なる者から「伸子」(しんこ)を識別すること、すなわち「伸子」(しんこ)を特定することは困難であるから、かような出生届は、名の特定の困難な命名として、戸籍法に反する違法な届出というべきである。抗告人がその妻「伸子」との間に生まれた長女の出生届に「伸子」(しんこ)と命名したのは、同一戸籍内における妻「伸子」との識別に困難をきたすもので戸籍法に違反する違法の届出というべきである―本件出生届を不受理とした市長の処分は相当である。
要旨 昭和38年11月9日/名古屋高等裁判所/決定/昭和38年(ラ)128号
人名用漢字以外の漢字を使用できるの?
出生届に記載する字は、基本的に戸籍法施行規則第60条の字(子の名に使える文字、人名用漢字、常用漢字など)である必要があります。
出生届の名前の「舜」という文字が、戸籍法施行規則60条に定める常用漢字および人名用漢字のいずれにもあたらないことを理由に受理しなかつた市長の処分につき、この文字は平易な文字にあたるとしても、常用されているとはいえないとして、処分が相当であるとされた事例
要旨 昭和62年11月19日/奈良家庭裁判所/審判/昭和62年(家)1235号
ただし、「曽」や「渾」など当時は戸籍法施行規則第60条の字でなかったとしても、常用平易な文字であるとして名前に使用することが認められたものもございます。
現在は「曽」と「渾」という字はどちらも「常用漢字」になっております。
戸籍法施行規則60条に定める文字以外の文字を用いて子の名を記載したことを理由とする市町村長の出生届の不受理処分に対する不服申立事件において、家庭裁判所は、審判手続に提出された資料、公知の事実等に照らし、当該文字が社会通念上明らかに常用平易な文字と認められるときには、当該市町村長に対し、当該出生届の受理を命ずることができるとされた事例
平成15年12月25日/最高裁判所第三小法廷/決定/平成15年(許)37号
「渾」の文字は,戸籍法50条所定の「常用平易な文字」であるとされた事例
平成29年5月16日/東京高等裁判所/第21民事部/決定/平成29年(ラ)312号
そのため、裁判所が「戸籍法施行規則第60条に記載されていないが常用平易な文字である」と判断した場合、その字を子供の名前に使用することができます。
ただし、これを認めてもらうには裁判所での手続きが必要でありますし、認められなかった判例もございますので、容易なことではありません。
まとめ
子供の名前に使える漢字について記載させて頂きました。
子供の名前の改名についてご相談をご希望の方はお気軽に司法書士事務所エベレスト大阪へご相談下さい。