特別養子縁組や普通養子縁組を行うと苗字や戸籍はどうなるのでしょうか?
この記事は「養子縁組をした場合の苗字や戸籍の内容」について掲載しております。
※該当される方は次の記事もご参考下さい。
「養子縁組後も養子の苗字をそのままにしておく方法は?」
「養子の名前を改名するには?」
「結婚や離婚など様々な手続き後の戸籍の見本一覧」
「死後離縁の手続きを詳しく解説」
目次
養子の苗字はどうなるの?
単身者の場合(未婚の人など)
養子縁組により、養親の姓に変更される
単身の人が養子縁組をすると、養親の姓を名乗ることになります。
養親の「佐藤一郎」が「山田二郎」を養子にした場合、「山田二郎」の姓は「佐藤」となります。
結婚した筆頭者の場合
養子縁組により、養親の姓に変更される
結婚時に姓を変更せず、戸籍の筆頭者となっている人が養子となった場合、養子、養子の配偶者の苗字は養親の苗字に変更されます。
養親の「佐藤一郎」が「山田二郎」を養子にした場合、「山田二郎」だけでなく「山田二郎」と結婚した「山田花子」の姓は「佐藤」となります。
なお、「山田二郎」と「山田花子」に子供の「山田孝之」がいた場合、「山田孝之」は自動的に「佐藤」にはならず、「佐藤」の姓に変更するには、役所で入籍届が必要となります。
結婚した配偶者の場合(筆頭者でない人)
養子縁組により、養親の姓には変更されない
少し分かりにくいですが条文には、次のような記載があります。
養子は、養親の氏を称する。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。
民法810条
つまり結婚により相手の苗字に変更した配偶者(筆頭者でない人)は、養子縁組をしても姓は養親の姓に変更されません。
「高橋花子」が「山田二郎」と結婚し、名前が「山田花子」となった後、養親の「佐藤一郎」と「山田花子」が養子縁組をしても、「山田花子」の苗字は「佐藤」に変更されません。
また、養子関係が続いている限り、「山田花子」が離婚した際、「高橋」の姓を選択することはできず、選択できる苗字は婚姻時の氏である「山田」か養親の氏である「佐藤」となります。
養子の戸籍はどうなるの?
単身者の場合(未婚の人など)
①養子が現在の養親の戸籍に入る
②戸籍に変動なく身分事項に記載される
③養親の新しい戸籍ができ、その戸籍に入る
①養子が現在の養親の戸籍に入る
養子は原則、養親の戸籍に入ります。
②戸籍に変動なく身分事項に記載される
養子がもともと養親の戸籍に入っていた場合は、身分事項という欄に養子縁組をした旨が記載されるのみです。
子供が生まれた後に両親が離婚し、子供が戸籍にいる父または母が再婚した場合、再婚相手と子供には親子関係がないため養子縁組をした場合、子供はもともと戸籍にいるため、身分事項に養子縁組をした旨が記載されます。
③養親の新しい戸籍ができ、その戸籍に入る
養親が戸籍の筆頭者や配偶者でない場合、養親と養子の戸籍が編成されます。
親の戸籍に入っている未婚の子が養親となる場合などです。
結婚した筆頭者の場合
養子夫婦の新しい戸籍が作られる
養子夫婦の戸籍が新しく編成されます。ただし養子夫婦の戸籍は自動的に編成されますが養子夫婦に子供がいた場合、子供は自動的に養子夫婦の戸籍に入りません。別途役所にて入籍届をする必要があります。(子の氏の変更許可の申立ては不要です。)
結婚した配偶者の場合(筆頭者でない人)
戸籍の変動はなく、身分事項に記載される。
筆頭者でない配偶者の人が養子となった場合、戸籍の変動はなく身分事項に養子縁組をした旨が記載されるのみです。
戸籍にはどんな内容が記載されるの?
養親、養子の戸籍には次のような記載が入ります。
※養子縁組される内容によって記載が異なってくる場合もございます。
※こちらは普通養子縁組の場合の内容です。特別養子縁組とは異なります。
身分事項:養子縁組
【縁組日】●年●●月●●日
【共同縁組者】●●●●
【養子氏名】●●●●
身分事項:養子縁組
【縁組日】●年●●月●●日
【養父氏名】●●●●
【養母氏名】●●●●
【従前戸籍】●●●●(本籍地)▲▲▲(筆頭者)
縁組日について
縁組日…役所への届出日
養子縁組後の戸籍謄本は、いつ取得できるの?
養子縁組届出を本籍地の役所に提出
…当日~1週間ほど
養子縁組届出を本籍地でない役所に提出
…1週間~2週間ほど
※届書等を本籍地の役所へ送付する必要があるため
役所によっても期間は異なりますので、気になられる方は役所へお問い合わせ下さい。
転籍などしたら養子縁組の記載はどうなるの?
転籍や婚姻などで戸籍が移動したとしても、養子縁組が継続している限り新しい戸籍に記載されます。
ただし、離縁などにより解消された養子縁組の関係は新しい戸籍には記載されません。
養子の苗字をそのまま変更しない方法は?
婚姻により苗字を変更した配偶者でない限り、養子縁組により一度は養親の苗字となります。そのため、養子の元の苗字のまま養子縁組をすることはできません。
養子が養子縁組前の苗字を名乗る方法としては、「家庭裁判所の許可」を得て「元の養子縁組前の苗字」に変更する方法があります。
養子縁組で苗字を養子縁組前の苗字に変更する方法は「養子縁組で養子の苗字を変えない方法は?」をご参考下さい。
まとめ
以上、養子縁組をした際の戸籍、苗字について記載させて頂きました。
養子縁組の手続きをされる方、養子の苗字・名前を変更される方はご参考下さい。
養子の下の名前の改名手続きは「養子の名前を改名するには?変更手続きを丁寧に解説」をご参考下さい。