結婚をしたけれど、旧姓を長年使用しているところでは引き続き旧姓を使用できたほうが楽な場合があります。そんなときに役に立つのが旧姓併記された本人確認書類です。
旧姓が併記された本人確認書類があることで、病院や郵便物の受け取りなど引き続き旧姓で対応できる所があります。
それでは旧姓が併記できる書類にはどのようなものがあるのでしょうか?
この記事では「旧姓を併記できる書類と併記できない書類」を書類の見本と一緒に解説します。
※次のような記事もあります。ご参考下さい。
「本人確認書類に旧姓併記した場合のメリット・デメリットは?」
「法律上、旧姓はどこまで使用できる?」
「旧姓に戻す費用と期間は?」
目次
旧姓を併記できる書類
旧姓併記できる書類には次のようなものがあります。
・住民票
・マイナンバーカード
・印鑑証明書
・運転免許証
・パスポート
・(国民)健康保険証
・一部の資格証明書(医師や宅地建物取引士など)
・会社登記(役員登記)
・署名用電子証明書
・コロナワクチン接種証明書アプリ
それぞれ書類の見本と手続きを簡単に解説します。
住民票
住民票の一部に旧氏を記載することができます。併記できる旧姓は1つだけで、過去の名乗ったことのある氏から1つを選んで併記することができます。
住民票に併記した場合、マイナンバーや印鑑証明書などにも併記され、省略することはできません。
記載した旧姓併記は後日、削除もできます。
手続きは役所で行い、本人でなくとも同一世帯の人や代理人の方でも手続きできます。
手続きに必要なものは次の通りです。
・戸籍謄抄本等
・運転免許証等の本人確認書類
・マイナンバーカード(持っている人のみ)
マイナンバーカード
住民票に旧姓を併記した場合、マイナンバーカードにも旧姓が併記されます。
すでにマイナンバーカードを持っている人は、追記欄(右下のグレーの箇所)に旧姓を記載することになります。
新しくマイナンバーカードを発行する人は上の見本のように[○○]と旧姓が記載されます。
手続きは住民票と同様に役所で行います。
印鑑証明書
住民票に旧姓を併記した場合、印鑑証明書にも旧姓が併記されます。
印鑑の登録には旧姓の印鑑も使用できますが、契約や公的手続きで旧姓の印鑑証明書が認められるかどうかは各機関によって異なりますので、事前に使用が可能か確認しておく必要があります。
運転免許証
運転免許証の旧姓併記の方法は上の見本のように表書きに記載することもできますし、下の見本のように裏書のみに記載することもできます。裏書だけだと手数料はかかりませんが、旧姓が表書きされている運転免許証を再発行する場合、手数料が2,250円かかります。
運転免許証に旧姓(旧氏)を裏書きする場合、各運転免許センター及び全警察署交通課で行えますが、新しい運転免許証の再発行する場合は、各運転免許センターか一部の警察署で手続きをします。
必要になるものとしては次の通りです。
次のどちらかを持参
・本籍及び旧氏欄に旧姓が記載された住民票(発行日から6か月以内、マイナンバー記載ないもの)
・ 旧姓(旧氏)が併記されたマイナンバーカード
パスポート
パスポートの旧姓併記は、これまで非常に厳格な要件の下で認められていましたが、令和3年4月1日からは要件が緩やかになり、パスポートの記載内容も変更されることになりました。
旧姓を併記する場合、見本のように英語で「Former surname」との説明書きが追加されます。
旧姓以外を併記する場合でも、一定の要件が満たされていれば、「Alternative surname」「Alternative given name」などの説明書きを加えます。なお、芸名やペンネーム等の通称は、いかなる理由があっても併記することはできません。
手続きに必要になるものは次の通りです。
旧姓が記載された次のいずれかの書類
・戸籍謄本
・住民票
・マイナンバーカード
ただしパスポートに旧姓が併記されたとしても、ICチップ及びMRZ(Machine Readable Zone)には旧姓は記録されません。そのためビザや航空券を旧姓で取得することは難しく、渡航先国の出入国管理当局等から説明を求められる場合もあり、その際には自分で事情を説明する必要があります。外務省が英語で旧姓併記を説明しているページもあります。
(国民)健康保険証
国民健康保険証及び健康保険証はどちらも旧姓を併記することができます。
またどちらも一定の要件を満たせば通称名にて発行することもできます。
※通称名については「通称名とは?」をご参考下さい。
旧姓を併記する場合に必要となる書類は次の通りです。
必要な書類
①申出書
②旧姓と戸籍姓が確認できる書類(旧姓併記の住民票の写し、戸籍謄本等)
③健康保険被保険者証再交付申請書
必要な書類
①申出書
②国民健康保険被保険者証(旧氏併記前のもの)
③次のいずれか1つ
・住民票(旧氏併記・3ヶ月以内)
・マイナンバーカード(旧氏併記)
一部の資格証明書(医師、宅地建物取引士など)
医師や宅地建物取引士など一部の資格証明書は旧姓の併記が認められている場合がございます。また旧姓併記が認められないとしても、弁護士など旧姓のまま仕事ができる職業は多く存在します。
資格をお持ちの方は御自身の資格が旧姓併記できるかどうか一度調べてみてもいいかもしれません。
役員登記(会社登記)
平成27年から株式会社や合同会社など会社の役員(取締役や監査役)の方は戸籍名に加えて旧姓を併記して登記することができます。これにより旧姓での業務活動がしやすくなることが見込まれます。
原則、旧姓併記できない書類
次のものは原則、旧姓併記をすることができません。
戸籍謄本
戸籍謄本については、旧姓を併記することができません。旧姓を名乗っていたことを証明するには、旧姓を名乗っていた時期の戸籍(除籍)謄本から現在までの戸籍謄本を提出したり、旧姓の記載がある戸籍を提出していくことになります。
銀行通帳・クレジットカード
通帳口座やクレジットカードについては、引き続き旧姓にて使用できる会社はありますが、現在の戸籍名と旧姓を併記して使用できる会社ほとんどないものと思われます。※詳しい詳細はご利用されている銀行やクレジット会社にご確認下さい。
なお、旧姓で口座開設できる銀行の割合は次の通りです。
不動産登記
株式会社など会社の役員の人は登記簿に旧姓を併記して登記することはできましたが、土地や家の不動産の登記には旧姓を併記することはできません。不動産の登記簿には戸籍名で登録されます。
まとめ
旧姓を併記できる書類と併記できない書類について記載しました。
運転免許証やパスポートなど住民票に旧姓が併記されていないと他の書類も旧姓が併記できないため、旧姓併記の本人確認書類を1つお持ちになりたい方は、まずは市役所で旧姓併記の申出をしましょう。
ただし、住民票に旧姓を併記するとマイナンバーカードや印鑑証明書なども旧姓が併記されますので、その点認識が必要です。
この記事が旧姓を併記される人の参考になれば幸いです。