目次
婚氏続称とは?
婚氏続称(こんしぞくしょう)とは「結婚時の氏(婚氏)を離婚後も名乗っていくこと」を言います。(民法767条2項)
結婚時に相手の苗字に変更した人は、離婚届を提出することで婚姻前の苗字に戻りますが、離婚の日から3カ月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」(この届を婚氏続称届と呼んでいます)を提出することで、離婚後も結婚時の苗字を名乗ることができるのです。
婚氏続称の注意点は?
婚氏続称届を提出し婚姻時の氏を選択した後に、やっぱり旧姓に戻したい!と思って苗字を旧姓に戻すには「家庭裁判所の許可」が必要となります。
家庭裁判所の詳しい手続きは「離婚後、苗字を旧姓に戻す手続きを詳しく解説」をご参考下さい。
婚氏続称届の手続きについて
婚氏続称届はどこでもらえるの?
「婚氏続称届」とは「離婚の際に称していた氏を称する届」のことを言い、実際には「婚氏続称届」というタイトルの書類はありません。
「離婚の際に称していた氏を称する届」は役所でもらうことができますし、このサイトからダウンロードすることも可能です。ダウンロードされる場合、A4サイズの白紙で印刷下さい。サイズが違うものを役所に提出した場合、受付を受理して頂けない可能性がございます。
どこに提出するの?
届出は届出人の本籍地又は所在地(一時的な居所でも可能)の役所に提出します。
提出時に必要なものは?
役所へ提出する際に必要なものは次の通りです。
持参する際に必要なもの
・離婚の際に称していた氏を称する届
・本人確認書類(運転免許証など)
・戸籍謄本 ※本籍地の役所に提出する場合は不要
郵送する際に必要なもの
・離婚の際に称していた氏を称する届
・戸籍謄本 ※本籍地の役所に提出する場合は不要
(郵送時は本人確認書類などは不要)
書類を持参する際に届出書に押印した際は印鑑を持参した方がいいでしょうが、令和3年9月1日より印鑑の押印は任意となりましたので印鑑がなくとも届出ができるようになりました。(法務省サイトはこちら)
誰が提出するの?
提出は家族や知り合いなどどなたでも可能です。その際に委任状は不要です。
費用・料金は?
郵送で提出する際に切手やレターパックなど必要ですが、届出自体には費用はかかりません。
郵送で提出できるの?
提出の方法は直接持参されなくとも「郵送」で提出することができます。郵送する際は、本人確認書類のコピーなどは不要です。郵送する際は紛失等が無いように、追跡できるレターパックや簡易書留で送るとトラブルの予防になります。
また郵送で提出する場合、書き間違えないように事前に役所に記載内容を相談しながら提出しましょう。
提出期限は?
離婚の日から3か月以内に提出する必要があります。
離婚日は、どのように離婚されたかで基準となる日が異なってきます。
協議離婚…役所への届出した日
離婚調停…調停が成立した日
裁判離婚…裁判が確定した日 ※
※裁判離婚の場合、離婚日は判決の日ではなく、判決が確定した日になります。
詳しい計算方法は「判決の確定日はいつ?」をご参考下さい。
裁判の確定日が分からない方は、事件当時者の場合、管轄の裁判所へ連絡することで確認することもできます。
また離婚日から3か月目が役所の休日の場合、その日以降の最初の開庁日に届出をする必要があります。
婚氏続称届の提出はいつがいいの?
婚氏続称届を提出することが決まっているのであれば離婚届を提出する際に同時に提出して頂くことで届出の出し忘れ等を防ぐことができます。
婚氏続称の書き方
婚氏続称届の書き方について、上から順に解説します。
①離婚の際に称していた氏を称する人の氏名
届出人本人様のお名前、ふりがな、生年月日をご記入下さい。
お名前は離婚届と同時に提出する場合、離婚前のお名前をご記入下さい。
②住所(住民登録しているところ)
婚氏続称届を提出する時点での住民票の住所と世帯主の氏名をご記入下さい。
転入届を提出した日に届出を提出する場合、転入先の住所と世帯主を記入します。
③本籍
本籍は住所と異なります。本籍がよく分からない方は「本籍とは?」をご参考下さい。
離婚届と同時に提出する場合は、婚姻時の本籍をご記入下さい。
離婚届と同時に提出しない場合は、離婚届提出後の今の本籍をご記入下さい。
また、その時点での戸籍筆頭者の氏名をお書きください。
④氏
離婚届と同時に提出する場合は、どちらも婚姻時の氏を記入して下さい。
離婚届と同時に提出しない場合は、変更前には現在の戸籍の氏(婚姻前の氏)を、変更後は婚姻時の氏をご記入下さい。
⑤離婚年月日
離婚日は次のように記載します。
協議離婚…役所への届出した日
離婚調停…調停が成立した日
裁判離婚…裁判が確定した日 ※
※裁判離婚の場合、離婚日は判決の日ではなく、判決が確定した日になります。
裁判の確定日が分からない方は、事件当時者の場合、管轄の裁判所へ連絡することで確認することもできます。
⑥離婚の際に称していた氏を称した後の本籍
この欄は、届出人が筆頭者で、今の戸籍に子供など同籍者がいない場合、記入は不要です。
それ以外の人は記入が必要となります。
この欄に記載した本籍地と筆頭者の戸籍が新しく作られます。
この箇所の本籍は、親の本籍地である必要もなく、また住んでいる場所である必要もありません。
日本国内の番地のある土地であれば、届出をすることで、どこでも自由に決めることができます。
そのため皇居や甲子園球場など有名な場所を本籍地にされている方もいます。
筆頭者の氏名の箇所は婚姻時の氏で届出人の名前を記入します。
⑦その他
基本的にご記入頂く必要はありません。
結婚時の氏が俗字であった人が引き続き、俗字の氏を名乗る場合などには、この箇所を記入しますが、基本は記載不要です。
⑧届出人署名
ここは届出をする本人が署名する必要があります。
離婚届と同時に提出する場合は、離婚前の氏で署名し、離婚届と同時に提出しない場合は、届出時の氏で署名します。
なお令和3年9月1日より印鑑の押印は任意となり押印がなくとも届出ができるようになりました。(法務省サイトはこちら)
3カ月過ぎた場合どうすればいいの?
3カ月を経過した後に、婚姻時の氏を名乗るには「家庭裁判所の許可」が必要になってきます。
詳しい手続きは「離婚後、結婚時の苗字に変更するには?」に記載ある家庭裁判所の手続きをご参考下さい。
婚氏続称届を提出した後に旧姓に戻すには?
婚氏続称届を提出した後に旧姓に戻すには、例え3カ月以内であっても「家庭裁判所の手続き」が必要になります。
詳しい手続きは「離婚後、旧姓に戻すには?」をご参考下さい。
まとめ
婚氏続称の意味や届出の詳細、婚氏続称の注意点を記載させて頂きました。
弊所では家庭裁判所の業務をサポートしており、3カ月経過したが婚姻時の氏を名乗りたい方や家庭裁判所の手続きでサポートをご希望の方はお気軽にご相談ください。