この記事では「弊所にご相談いただき、今回の記事にご協力いただけた方の改名の許可事例を7つ」解説しています。
それぞれ異なった理由で改名された方々です。
これから改名手続きを進められる方はご参考ください。
次のような記事もございます。ご参考ください。
「苗字・名前の改名手続きの流れを丁寧に解説」
「【氏の変更】やむを得ない事由の例は?」
「【名の変更】正当な事由の例は?」
目次
下の名前の改名が認められた例
通称名を理由とする変更
このようなことから通称名で使用している「A」という名前に変更したい。
改名の代表的な申立理由として通称名を理由とするものがございます。弊所でのご相談でも通称名を理由にされたい方は多くいらっしゃいます。
通称名とは?
通称名(つうしょうめい)とは、「戸籍上の名前でない世間一般において使用しており、通用している名前」のことを言います。
具体的な例で言うと、戸籍上の名前が「田中太郎」という人が会社や友人間で「田中次郎」という名を使用している場合、この「田中次郎」が通称名になります。
どのようにして認められたの?
この方は動機も正当なものですし、通称資料の証拠も長年にわたって揃えられていたため、面談や書面照会など無く許可の判断となりました。
なお、通称名の実績を積む際のポイントには次のようなものがあります。
①通称名を長い年月使用している
②通称名を広い範囲(友人、親族、会社等)で使用している
③動機に正当性がある
④通称名が難読、奇妙な名前ではない
その他、通称名の詳しい内容は「通称名とは?通称の使用できる範囲や通名資料などを解説」をご参考下さい。
申立理由の書き方は?
こちらは家庭裁判所HPにあります通称名を理由とした申立理由の記載例です。
申立人は高校2年の女子です。戸籍上は乙子となっていますが、幼稚園の時から通称として「丙子」の名を使用してきました。現在では、学校、友人や近所の人々の間では「丙子」として通用しています。今後の進学や就職のことを考えると社会生活上、戸籍名では不便ですので、変更の許可をえたく申し立てます。
裁判所ホームページより
あくまで参考例であり、こちらの内容を記載すれば許可が下りるというものではありません。
申立をされる方の状況等によって記載内容が変わってきますので、参考程度にしていただければと思います。
赤ちゃんの改名
元旦那の実家から○○という名前を付けるようにと脅され、やむなく○○という名前をつけました。
私は出産直後で体力も気力も回復していない中の出
自分で決めた名前ではないことから、名前に対する不安が付きまとい、赤ちゃんに名前を
できることなら名前を変えたいです。
どのようにして認められたの?
赤ちゃんの申し立てでは証拠の資料を提出できるものが少ないことから、申立理由の記載が重要になってきます。
弊所でもお客様ご自身で申し立て理由を作成し、却下となってしまったというご相談をよくいただきます。
またできるだけ早い時期に申立てすることも重要です。
お子様の年齢が幼い場合、改名による社会的な影響は少ないとして、名前の変更許可が得やすいためです。
変更後の名前は十分に慎重に決める必要がありますが、お名前が決まった際は、早めに手続きを進めれらるのが良いかと思います。
今回のご相談内容は上記の点を抑え、無事に許可を頂けました。
赤ちゃんの改名手続きについては「赤ちゃんの名前を変更するには?出生届後の子供の改名手続きを解説」をご参考下さい。
性別違和(性同一性障害)を理由に改名
胸オペなども既に終わっていますが名前が女性的であることから使用する際、精神的苦痛を感じており、その
名前と性別どちらも変更したいです。
性別違和(性同一性障害・GID)を理由に名前を変更したいというご相談も多くいただきます。
外見を手術などで変えられている人は、人前で名前を呼ばれると周りから好奇な目で見られることも多いようです。
どのようにして認められたの?
性別違和(性同一性障害・GID)を理由に変更する場合、重要となる証拠として①性同一性障害の診断書があるか②短い間でも通称名の実績を積んでいるかが重要となります。
①の診断書は主に精神科のある病院・クリニックで、カウンセリングに基づいて発行されます。
②の通称実績については、性同一性障害の方の場合、1年ほどの期間の通称実績でも許可を頂くことは十分に可能です。
今回のお客様は、そのような証拠資料を十分に揃えられていたため、比較的早い段階で許可を頂くことができました。
性同一性障害等を理由にする改名手続きについては「性同一性障害(GID)を理由に名前を変えるには?」もご参考ください。
キラキラネームを変更
病院やバイトの応募、大学生活やなにかの登録に至るまで本名を使うもの全般に躊躇してしまうようになり、日常生活に大きな支障が出ているので、名前を変えたいです。
18歳の男子高校生が、親に名付けられた「王子様」という名前を「肇」に改名したニュースが世間に大きな反響を呼びました。
同様に、珍しい名前が理由で名前を変更したいというご相談も多くいただきます。
どのようにして認められたの?
キラキラネームでの改名において、大事なポイントには次のようなものがございます。
①名前が難読、奇抜、異性と間違えやすい
②変更後のお名前の読みやすさ
③申立人の年齢
①については、自分ではキラキラネームと思っていたとしても、裁判所としては、キラキラネームではないと判断する場合があります。
また②については、キラキラネームを理由に変更するのに、変更後の名前も珍しい名前となってしまう場合、申立理由の内容にもよりますが、変更が厳しくなる場合があります。
さらに③については、申立人がすでに40歳を越えているなど、一定の年齢を越えている場合も、厳しくなる場合がございます。
今回、ご相談いただいた方は、通称資料の実績などはありませんでしたが、年齢や特徴的な名前であったことから無事に許可を頂くことができました。
詳しい内容は「キラキラネームを改名するには?」をご参考ください。
苗字の改名が認められた例
離婚後、しばらくして旧姓へ変更
間もなく下の子供が成人を迎えるのですが、どうするのか話し合ったところ、旧姓に戻ることで意見が一致しま
またこのままでは、お墓を守れない事もあり、
離婚後、しばらくされて旧姓に戻したいというのも、弊所で頂く代表的なご相談内容です。
特にお子様の事情を考えて婚姻時の氏を選択されたという方が多くいらっしゃいます。
どのようにして認められたの?
旧姓への変更は比較的に許可されやすい傾向にあります。
このことは離婚して20年、30年経過した方や再婚などにより何度も苗字が変わっている方も同様です。
ただし、許可が下りやすいからと言って理由によっては、却下となる場合もございます。具体的には、破産歴や犯罪歴を隠すためなど社会的に弊害が生じるような場合や恣意的な理由の場合です。
今回のお客様は、婚姻時の氏を選択されたのがお子様の事情であったことなど、正当な理由が多かったことから面談なく許可を頂けました。
旧姓に戻す手続きは「離婚して10年やっぱり旧姓に戻したい!手続きを解説」をご参考ください。
申立理由の書き方は?
こちらは家庭裁判所HPにあります申立理由の記載例です。
1 申立人は、昭和○年に乙川太郎と婚姻し、長男秋男(平成○年○月○日生)をもうけました。
裁判所ホームページより
2 申立人は、乙川太郎と平成○年○月○日に協議離婚しました。その際、長男が、当時中学在学中のため、婚姻中の氏を称することとしました。
3 長男は本年3月高校を卒業し、社会人となることとなりましたので、婚姻前の氏である「甲野」に変更する許可を求めます。なお、長男秋男は申立ての趣旨のとおり氏を変更することに同意しています。
あくまで参考例であり、こちらの内容を記載すれば許可が下りるというものではありません。
申立をされる方の状況等によって記載内容が変わってきますので、参考程度にしていただければと思います。
夫婦の苗字を妻の旧姓に変更
しかしながら結婚式に至るまでに、夫側の家族から信用を失うよ
そのことから夫の親族とトラブルが続き、私が夫の姓を使用すると、息苦しくなる、吐き気をもよおす、など体調が悪化するようになりました。
私の両親からは、夫の姓で体調が悪くなるのであれば、元の姓に戻すか、それができないのであれば離婚をしたらいいのではないかと言われております。
夫は姓を変更することに同意してくれているため、できれば離婚をせずに苗字を変更したいです。
結婚した際は夫の姓にしたが、数年して奥様の旧姓に変更したいなど、結婚後、離婚をせずに苗字を変更したいというご相談を多く頂きます。
離婚をせずに苗字を変更することは、かなりハードルが高く、単純に相手の姓に変更したいことだけを伝えていっても変更が難しい場合があります。
どのようにして認められたの?
結婚後、離婚をせずに苗字を変更する場合、申立理由と証拠、どちらもが重要となってきます。
認められるためのポイントとして次のようなものがあります。
・妻の親と同居している
・夫が過去に妻の旧姓を名乗っていた(妻の親族と養子縁組をするなど)
・結婚当時、夫婦のどちらかが強引に苗字を決めた
・相手の苗字に変更することが結婚の条件となっていた
・婚姻後、それほど日数が経っていない
・妻がお墓を引き継いで行く必要がある
・妻が親の事業を引き継ぐ
・通称名の実績がある
今回のお客様にはご期待にそえる結果となりましたが、類似するような内容を弊所にご依頼いただき、許可が頂けなかったという案件はいくつもあります。
このような理由の人は慎重に手続きを進めていただければと思います。
その他、必要な資料や詳しい内容は「結婚後、離婚せず夫婦の苗字を妻の姓に変更する手続き」をご参考下さい。
外国人配偶者の苗字に変更
日本の戸籍で
様々な手続きがオンラインになりましたが、グリ
弊所では、日本の方だけでなく海外の方の改名手続きのご相談も多くいただいています。
海外の方が日本に帰国して裁判所の手続きを進める場合、飛行機代や移動時間などが必要となりますが、弊所にご依頼いただいた場合、帰国せずに手続きが完了することが多いため、そのような理由からご依頼を頂けることが多くあります。
どのようにして認められたの?
今回は、結婚した外国人配偶者の姓への変更のため、特に申立書や戸籍謄本のみを中心に、証拠資料等を提出せず許可を頂くことができました。
複合姓への変更や、戸籍にミドルネームを追加するなど、国際結婚に関する改名は「国際結婚後の苗字の変更手続きを丁寧に解説」をご参考ください。
まとめ
苗字と名前、それぞれ改名が認められた事例をご紹介させていただきました。
ほとんどの人が家庭裁判所で手続きをしたことがないため、戸籍の名前を変える手続きをイメージしにくいかと思いますが、こちらの記事が少しでも参考になればと思います。
苗字・名前を変更する場合、家庭裁判所の許可が必要になりますが、変更許可の要件は決して低くは無く、手続きには細かい知識が必要になります。
家庭裁判所での改名手続きをご相談されたい方は初回相談無料で対応しておりますので、お気軽に司法書士事務所エベレストまでご相談下さい。