目次
復氏届とは?
復氏届(ふくしとどけ・ふくうじとどけ)とは「結婚時に苗字を変更した人が、配偶者の死亡後、婚姻前の苗字に戻す届」のことを言います。(民法751条)
復氏届の注意点は?
姻族関係は終了しない
復氏届を提出し、婚姻前の苗字に戻ったとしても、配偶者の血族との姻族関係は終了しません。
配偶者との姻族関係を終了させるには、姻族関係終了届を提出する必要があります。
子供の苗字は変わらない
復氏届を提出する人に子供がいる場合、復氏届を提出するだけでは、子供の戸籍や苗字は変更されません。
子供も復氏した親と同じ戸籍に入るには、家庭裁判所で「子の氏の変更許可申立」が必要となります。
戻せるのは婚姻前の苗字まで
復氏届で苗字を戻せるのは、婚姻前の苗字となります。
苗字がA→B→Cと変わったCさんが出生時のAの苗字に戻す場合、BさんとCさんとの婚姻関係の終了の原因が死亡の場合は復氏届でAという苗字に戻せますが、婚姻関係の終了の原因がCさんは死亡、Bさんとは離婚の場合、Aという苗字に戻すには「家庭裁判所の許可」が必要となります。
家庭裁判所の詳しい手続きは「離婚後、苗字を旧姓に戻す手続きを詳しく解説」をご参考下さい。
復氏届の手続きについて
復氏届はどこでもらえるの?
「復氏届」は役所でもらうことができますし、このサイトからダウンロードすることも可能です。ダウンロードされる場合、A4サイズの白紙で印刷下さい。サイズが違うものを役所に提出した場合、受付を受理して頂けない可能性がございます。
どこに提出するの?
届出は届出人の本籍地又は所在地(一時的な居所でも可能)の役所に提出します。
提出時に必要なものは?
役所へ提出する際に必要なものは次の通りです。
持参する際に必要なもの
・復氏届
・本人確認書類(運転免許証など)
・戸籍謄本 ※本籍地の役所に提出する場合は不要
郵送する際に必要なもの
・復氏届
・戸籍謄本 ※本籍地の役所に提出する場合は不要
(郵送時は本人確認書類などは不要)
書類を持参する際に届出書に押印した際は印鑑を持参した方がいいでしょうが、令和3年9月1日より印鑑の押印は任意となりましたので印鑑がなくとも届出ができるようになりました。(法務省サイトはこちら)
誰が提出するの?
提出は家族や知り合いなどどなたでも可能です。その際に委任状は不要です。
費用・料金は?
郵送で提出する際に切手やレターパックなど必要ですが、届出自体には費用はかかりません。
郵送で提出できるの?
提出の方法は直接持参されなくとも「郵送」で提出することができます。郵送する際は、本人確認書類のコピーなどは不要です。郵送する際は紛失等が無いように、追跡できるレターパックや簡易書留で送るとトラブルの予防になります。
また郵送で提出する場合、書き間違えないように事前に役所に記載内容を相談しながら提出しましょう。
提出期限は?
復氏届の提出期限はありません。
配偶者が死亡し、かなりの月日が経っていたとしても、復氏届で婚姻前の苗字に戻せます。
復氏届の書き方
復氏届の書き方について、上から順に解説します。
①復氏する人の氏名
復氏する人のお名前、ふりがな、生年月日をご記入下さい。
お名前は復氏前の現在のお名前をご記入下さい。
②住所(住民登録しているところ)
復氏届を提出する時点での住民票の住所と世帯主の氏名をご記入下さい。
「世帯主」とは、一つの住民票の中に記載されている世帯の代表者です。
転入届を提出した日に届出を提出する場合、転入先の住所と世帯主を記入します。
③本籍
復氏する人の届出時の本籍と筆頭者を記入します。
本籍は住所と異なります。本籍がよく分からない方は「本籍とは?」をご参考下さい。
本籍は本籍地付きの住民票を取得することで確認することもできます。
「筆頭者」とは、戸籍の最初に記載される方です。
④復する氏、父母の氏名、父母との続柄
氏は復氏後の氏(婚姻前の氏)をご記入下さい。
父母の氏名には、復氏する人の現在の父母の氏名を記入します。父母が婚姻中の場合、母の氏は記入しません。
続き柄には男、女のチェック欄の前に「長」「ニ」「三」などと記載します。
⑤復氏した後の本籍
「もとの戸籍に戻る」か「新しい戸籍をつくる」かを選択します。
「もとの戸籍に戻る」を選択すると、婚姻前の戸籍に戻ります。ただし死亡などにより婚姻前の戸籍に誰も残っていない場合、もとの戸籍に戻ることはできません。
「新しい戸籍をつくる」を選択した場合、この欄に記載した本籍地と筆頭者の戸籍が新しく作られます。
ここで記載する本籍は、親の本籍地である必要もなく、また住んでいる場所である必要もありません。
日本国内の番地のある土地であれば、届出をすることで、どこでも自由に決めることができます。
そのため皇居や甲子園球場など有名な場所を本籍地にされている方もいます。
「新しい戸籍をつくる」場合、筆頭者の氏名は復氏後の名前を記入します。
⑥死亡した配偶者
配偶者の氏名と死亡した日を記載します。
死亡日は戸籍にも記載されています。
⑦その他
基本的に、この箇所はご記入頂く必要はありません。
⑧届出人署名
ここは復氏前の氏で届出をする本人が署名する必要があります。
なお令和3年9月1日より印鑑の押印は任意となり押印がなくとも届出ができるようになりました。(法務省サイトはこちら)
子供の苗字も旧姓に戻すには?
子供がいる場合に復氏届で親が旧姓に戻す場合、親だけが結婚時の戸籍から出ていき、子供は元の戸籍に残ったままとなります。
また子供の苗字が自動的に旧姓に変更されることはありません。
子供を旧姓に戻した親の戸籍に入れるには「子の氏の変更許可申し立て」が必要となります。
子の氏の変更許可申立ての詳しい手続きは「子の氏の変更許可申立とは?申立書や必要書類を丁寧に解説」をご参考下さい。
まとめ
復氏届の意味や役所での手続き、復氏届の書き方について記載させて頂きました。
弊所では家庭裁判所の業務をサポートしており、復氏後も婚姻時の苗字を名乗りたい方や家庭裁判所の手続きでサポートをご希望の方はお気軽にご相談ください。