婚姻関係にない父親と子どもが親子関係を作る場合、役所へ認知届を提出する必要がありますが、認知届にはどのような事を記載しなければならないのでしょうか?
この記事では、「認知届の書き方と注意点、認知後の戸籍の見本」について詳しく丁寧に解説します。
認知届を書かれる方はご参考下さい。
※次のような記事もあります。該当する方はご参考下さい。
「認知された子供の苗字を父親の苗字に変更するには?」
「赤ちゃんの改名手続きを丁寧に解説」
目次
認知届とは?
認知届とは「婚姻関係にない父母間で生まれた子と父の間で法律上の親子関係を成立させる届出」のことを言います。
認知届を役所に提出することで「子供の戸籍に父が認知した事」が記載されます。
認知の種類は?
認知の方法には大きく分けて2つの方法があります。
任意認知(胎児認知、遺言認知を含む)
…父が任意でする認知
強制認知(裁判認知)
…裁判によって強制的にする認知
この記事ではそれぞれの詳細な内容は省略しますが、任意認知はもちろん、強制認知の場合も認知するには役所へ認知届を提出する必要があります。
認知届について
認知届はどこでもらえるの?
認知届は「役所」でもらうことができます。
またこのサイトからダウンロードすることも可能です。ダウンロードされる場合、A4サイズの白紙で印刷下さい。サイズが違うものを役所に提出した場合、受付を受理して頂けない可能性がございます。
どこに提出するの?
認知届の提出先は次のように定められています。
任意認知・裁判認知
次のいずれかの市区町村の役所
・子の本籍地
・父の本籍地
・届出人の所在地
胎児認知
・胎児の母の本籍地
誰が提出するの?
認知届をすでに届出人が記入している場合、届出人(父母など)でなくとも会社の人や親族などが提出することができます。
ただし届出人(父母など)以外が認知届を提出する場合、提出時に認知届の誤りがあったとしてもその場で訂正ができないのでご注意下さい。
勝手に出された認知届はどうなるの?
本来であれば、父の同意のない提出は無効と言えますが、認知を無効にするには裁判所で「認知無効の訴え」を定期する必要があります。
勝手に認知届を出されることを防ぐには事前に役所へ「認知届不受理申出」を提出しておくことで、そのような事態を防ぐことができます。
郵送で提出できるの?
提出の方法は直接持参されなくとも「郵送」で提出することができます。郵送する際は、認知届のみあれば問題なく、本人確認書類のコピーなどは不要です。
ただし郵送で提出する場合、書き間違えないように事前に役所に記載内容を相談しながら提出しましょう。
郵送で提出する場合、本人確認通知というものが役所から送付される場合があります。これは窓口で本人確認できなかった場合に、認知届が本人からされたものかを確認する書類です。受理決定後1週間ほどで届く場合が多いです。
提出期限は?
認知届の期限は次の通りです。
任意認知
…期限は特になし
裁判認知
…裁判が確定してから10日以内
※10日以内に届出がない場合、相手方が届出できます。
※10日を経過した場合、過料の対象になります。
遺言認知
…遺言執行者就職の日から10日以内
提出時に必要なものは?
役所へ認知届を提出する際に必要なものは次の通りです。
持参する際に必要なもの
・認知届
・本人確認書類(運転免許証など)
郵送する際に必要なもの
・認知届
(郵送時は本人確認書類などは不要)
※認知される子が成年の場合
…認知される子の承諾書
※胎児認知の場合
…胎児の母の承諾書
※裁判認知の場合
…裁判の謄本および確定証明書
※届出地が父、子の本籍地ではない場合
…本籍地ではない父または子の戸籍謄本
認知届に押印した際は印鑑を持参した方がいいでしょうが、令和3年9月1日より印鑑の押印は任意となりましたので印鑑がなくとも届出ができるようになりました。(法務省サイトはこちら)
認知届の書き方
出生届の書き方について①~⑫の番号にそって説明をします。
①~③認知される子、認知する父の欄
①氏名、生年月日、父母との続き柄
この箇所は認知される子、認知する父、それぞれの氏名、よみかた、生年月日を記入します。
海外の子や父の場合、生年月日は西暦で記入します。
胎児認知の場合、認知される子の箇所には、名前に「胎児」のみ記載し、住所や本籍の記載は不要です。
父母との続柄は、男女のどちらかをチェックします。
長男や長女など続柄を記載するために男、女のチェック欄の前に「長」「ニ」「三」などと記載します。
認知する父に他の子供がいたとしても、その認知する父と認知される子どもの母と何人目の子供かで考えていきます。
②住所
住所は子供と父の住民登録している住民票の住所を記入します。
また「世帯主」を記入しますが、「世帯主」と「筆頭者」は別々のものです。
「世帯主」とは、一つの住民票の中に記載されている世帯の代表者です。
「筆頭者」とは、戸籍の最初に記載される方です。
③本籍
子と父の本籍地を記入します。外国人の場合、国籍のみ記入します。
本籍が分からない場合、本籍地付きの住民票を取得することで本籍地が分かります。
「筆頭者」とは、戸籍の最初に記載される方です。
④認知の種別の欄
認知の種類をチェックしていきます。
裁判や遺言によって認知していなければ基本的に任意認知です。
審判、判決の確定日は基本的に確定証明書に記載されていますが、記載されていないこともまれにあるので、その際は裁判所や弁護士の方に確認しましょう。
⑤子の母の欄
認知される子供の母親の氏名、生年月日、本籍、筆頭者を記入していきます。
「筆頭者」とは、戸籍の最初に記載される方です。
「筆頭者」が分からない場合、戸籍謄本を取得しましょう。
⑥その他の欄
その他の欄は、チェック項目に該当する内容にチェックを入れていきます。
胎児を認知する場合
胎児を認知する場合、その母の承諾が必要となってきます。
承諾については別途、承諾書を準備する必要はなく、その他の欄に記載例のように記載頂ければ問題ありません。
この届出を承諾する
住所 大阪府大阪市北区中之島1丁目3番20号
母 鈴木 花子 ㊞
成人した子を認知する場合
成人した子を認知する場合、その子の承諾が必要となってきます。
承諾については別途、承諾書を準備する必要はなく、その他の欄に記載例のように記載頂ければ問題ありません。
この届出を承諾する
住所 大阪府大阪市北区中之島1丁目3番20号
鈴木 優子 ㊞
海外の方式で認知が成立した場合
海外の方式で認知が成立した場合、認知届のその他の欄には、どこの国の方式により、いつ成立したか、それを証明する書類を添付する旨を記入します。
具体例としては次の通りです。
令和4年5月5日の方式により認知成立
ポルトガル共和国 作成の リスボン戸籍登録保存所 認知証書添付。
⑦届出人の欄
届出人は基本的に父にチェックが入るかと思いますが、裁判や遺言執行者が届出する場合、その旨記載します。
住所、本籍、筆頭者、生年月日など記入し署名の箇所には署名をしていきます。
また印鑑は令和3年9月1日より印鑑の押印は任意となり押印がなくとも届出ができるようになりました。(法務省サイトはこちら)
認知後の戸籍の見本
認知した事は父と子供の戸籍に記載されます。
ただし転籍や改製など戸籍が新しくなった時、子供の新しい戸籍には認知の旨が記載されますが、父親の新しい戸籍には認知した旨は記載されません。
認知の種類によって戸籍に記載される内容は異なってきます。
ここでは子供が任意認知された場合の戸籍を紹介します。
戸籍の見本(胎児認知)
胎児認知をした場合、戸籍には次のような記載がされます。
身分事項:認知
【胎児認知日】令和●年●●月●●日
【認知者氏名】▲▲▲
※認知した父と戸籍が別の場合
【認知者の戸籍】●●●●(本籍地)▲▲▲(筆頭者)
戸籍の見本(出生後の任意認知)
出生後に認知した場合、戸籍には次のように記載されます。
身分事項:認知
【認知日】令和●年●●月●●日
【認知者氏名】▲▲▲
※認知した父と戸籍が別の場合
【認知者の戸籍】●●●●(本籍地)▲▲▲(筆頭者)
まとめ
認知届の書き方や記載されている内容について詳しく記載させて頂きました。
認知届を記載される方はご参考下さい。
子供の名前の改名についてご相談をご希望の方はお気軽に司法書士事務所エベレスト大阪へご相談下さい。