婚姻関係にない父親が子どもを認知した場合、戸籍や苗字はどうなるのでしょうか?
この記事では、「認知された子供の戸籍と苗字がどうなるのか?父親の姓に変更する方法」について詳しく丁寧に解説します。
※次のような記事もあります。該当する方はご参考下さい。
「認知届の書き方を見本付きで解説」
「子の氏の変更許可申立の方法を解説」
目次
認知とは?
認知とは「婚姻関係にない父母間で生まれた子と父の間で法律上の親子関係を成立させる」のことを言います。
認知届を役所に提出することで「子供の戸籍に父が認知した事」が記載されます。
認知届の書き方、提出期限など役所での認知届については「認知届の書き方を見本付きで解説」を参考下さい。
認知後の戸籍の見本
認知した事は父と子供の戸籍に記載されます。
ただし転籍や改製など戸籍が新しくなったとき、子供の新しい戸籍には認知の旨が記載されますが、父親の新しい戸籍には認知した旨は記載されません。
また認知されたからと言って子供が父親の戸籍に移動することはありません。父親の戸籍に入るには別途手続きが必要です。
認知後の戸籍の見本を見られたい方は「認知後の戸籍の見本」をご参考下さい。
認知した子供の苗字はどうなる?
認知されても子供の苗字は変わりません。
子供が母親の苗字を名乗っている場合、認知された後も苗字は母親の苗字となります。
認知した父親の苗字を名乗るには、認知届以外に別途手続きが必要です。
認知した父の苗字に変更するには?
子供が認知した父親の苗字に変更する方法とそれぞれの手続きの違いは次の通りです。
①認知した父と養子縁組する
…確実に苗字を変更できる
…養親の協力が必要
②家庭裁判所で「子の氏の変更許可申立」を行う
…③と比べると認められやすい
…父親の戸籍に入る事や在籍者の同意が必要な場合がある
③家庭裁判所で「氏の変更許可申立」を行う
…筆頭者であれば手続きができる
…父親の同意は不要
…変更するには「やむを得ない事由」が必要
基本的には②の「子の氏の変更許可申立」の方法で進めていくことになるかと思いますが、②の要件が厳しい場合、①や③の方法で父親の苗字に変更していきます。
家庭裁判所の手続きはどうすればいいの?
弊所では家庭裁判所での「子の氏の変更許可申立」や「氏の変更許可申立」について詳しく書いた記事がございます。家庭裁判所の手続きをされる方はご参考下さい。
「子の氏の変更許可申立を自分でするには?申立書や必要書類を丁寧に解説」
「氏の変更許可申立を丁寧に解説|氏名変更を成功させるには?」
過去の判例
認知された子供が父親の苗字に変更することを許可した判例がございます。
非嫡出子を認知し、親権者となった父が、非嫡出子の氏を自己の氏に変更する許可を申し立てた事案の抗告審において、抗告人(非嫡出子)の親権者である父は、抗告人が小学校に入学する年齢に達したことから、将来の生活に対する影響等を考慮して本件申立てをしたものであって、子の氏を恣意的に変更する意図はみられないこと、父には現在は妻がいないので、妻に与える影響を考慮する必要はないこと、父の戸籍に同籍している嫡出子が抗告人との同籍に反対する意向はうかがわれないこと、抗告人と父が現在同居生活を送っていないことも本件申立てを許可することを妨げる事由となるものではないなどとして、申立てを却下した原審判が取り消され、抗告人の氏を父の氏に変更することが許可された事例。
平成23年1月28日/札幌高等裁判所/決定
まとめ
認知された子供の戸籍や苗字について記載させて頂きました。
子供の名前の改名についてご相談をご希望の方はお気軽に司法書士事務所エベレスト大阪へご相談下さい。