アメリカ人との国際結婚後、グリーンカードや米国の運転免許証には配偶者の姓を使っている一方、日本の戸籍は結婚前の姓のままという方は少なくありません。

これまでは特に困らなかったものの、航空券を予約する際やオンラインチェックインで不便が生じるになり、「日本の戸籍やパスポートも、アメリカで使っている姓にそろえたい」というご相談を頂くことがあります。

この記事では、書類によって姓が異なる理由と、パスポートの姓をアメリカの身分証明書の姓に揃える方法を解説します。ご本人の姓を変える手続きのほか、お子様の姓もそろえたい場合や、日本への帰国が難しい場合についてもご案内します。

グリーンカードと日本のパスポートで姓が違うのはなぜ?

日本のパスポートの表紙

外国人と結婚しても、日本人の戸籍の姓が自動的に配偶者の姓へ変わるわけではありません。日本の戸籍の氏を変更する手続きをしていなければ、戸籍には結婚前の姓が残ります。

一方、アメリカで婚姻後の姓を使って生活し、グリーンカードや運転免許証もその姓で発行されていると、日本とアメリカの書類で姓が異なる状態になります。例えば、次のようなケースです。

書類 姓の記載例
日本の戸籍 山田
日本のパスポート YAMADA。別姓としてSMITHが括弧書きで併記されている場合もあります
グリーンカード SMITH
米国の運転免許証 SMITH

この例のように、米国で使っている姓に日本の戸籍もそろえたい場合は、戸籍の姓を「スミス」に変える手続きを検討します。

パスポートの括弧書きで、名前の不一致は解消できる?

日本のパスポートでは、一定の条件を満たす場合、戸籍の姓に加えて外国人配偶者の姓を括弧書きで併記できます。戸籍には山田と記載されていても、パスポートにSMITHという別姓が載っているのは、この「別名併記」の制度によるものです。

ただし、括弧内の別姓は、パスポートのICチップや、機械で読み取るための記載部分(MRZ)には記録されません。そのため、顔写真のページに両方の姓が載っていても、機械で読み取る氏名に括弧内の姓は含まれません。

航空券や渡航に使う書類の氏名を確認する際に、姓が違う理由を説明するよう求められることがあります。「夫の姓もパスポートに載っているのに、どうして確認が必要になるのか」という疑問は、この仕組みに関係しています。

別名併記は、戸籍とは別の姓も使っていることをパスポートに示す制度です。括弧書きで姓を載せても、戸籍の姓や、パスポートの基本となる姓が変わるわけではありません。

参考:外務省「旅券(パスポート)の別名併記制度について」

航空券はパスポートの名前で予約するのが基本

パスポートと飛行機、旅行かばんのイメージ

多くの航空会社では、国際線の航空券は、搭乗時に使用するパスポートの氏名で予約するのが原則です。ANAやJALでは、パスポートに配偶者の姓が括弧書きで併記されていても、括弧外の氏名で予約するよう案内しています。

グリーンカードとパスポートで姓が異なる場合は、予約前に航空会社へその事情を伝え、追加で提示する書類が必要か確認しておきましょう。すでに予約している方や、渡航前にパスポートの姓を変更する予定の方は、航空券の予約名についても確認してください。

参考:ANA「予約時の氏名入力について」/JAL「姓・名・ミドルネームの入力について」/デルタ航空「米国外への渡航」/アメリカン航空「国際線の渡航案内」

日本の戸籍とパスポートを配偶者の姓にそろえるには?

日本とアメリカ

日本の戸籍とパスポートの姓を、米国で使っている配偶者の姓にそろえる場合は、まず現在の戸籍を確認し、姓を変える手続きを進めます。その後、変更後の戸籍に基づいて、新しい氏名のパスポートを申請します。

結婚から6か月を過ぎた場合の氏の変更手続き

外国人との婚姻成立から6か月以内に、その配偶者の姓へ変更する場合は、原則として家庭裁判所の許可を得ずに「外国人との婚姻による氏の変更届」を提出できます。6か月を過ぎてから変更する場合は、日本の家庭裁判所で氏の変更許可を受けたうえで、氏の変更届を提出します。

6か月は、届出だけで変更できる期間であり、それを過ぎると変更ができなくなるという意味ではありません。結婚から長い年月が経っている方も、現在の生活状況や、姓の違いによって生じている不便を確認したうえで、手続きを検討できます。

申立てでは、どの書類でどの姓を使用しているのか、どの場面で確認や説明が必要になったのかなど、実際の事情を整理します。姓を変更するための手続きや必要書類は、「国際結婚後の苗字の変更手続きを丁寧に解説」をご覧ください。

パスポートのアルファベット表記も確認します

戸籍の姓をカタカナの外国姓に変更しても、パスポートのアルファベット表記まで自動的に米国の書類と同じになるわけではありません。外国式の綴り(現地で使っているアルファベット表記)を希望する場合は、パスポート申請時に、その表記を確認できる資料を用意して申し出ます。

グリーンカードや婚姻関係の証明書など、どの資料が必要かは申請先の在外公館へ確認してください。姓のアルファベット表記だけでなく、名やミドルネームの表記にも違いがないか、あわせて確認しておきましょう。なお、姓の変更だけで、日本の戸籍の名にミドルネームが追加されるわけではありません。

戸籍の姓を変更した後は、居住地を管轄する日本大使館・総領事館などで、新しい氏名のパスポートを申請できます。オンライン申請ができる場合でも、パスポートの受け取りはご本人が行います。申請方法や受け取りの日程は、管轄する在外公館の案内をご確認ください。

参考:在米国日本国大使館「外国式氏名表記」/外務省「国外からオンライン申請する」

子どもの戸籍の姓も一緒に変更したい場合


子供

ご本人だけでなく、お子様も日本とアメリカで異なる姓を使用している場合は、親子それぞれの戸籍と書類を確認します。現在は特に困っていなくても、今後の渡航や手続きで説明の負担を減らしたいと考え、家族で姓をそろえるご相談もあります。

進め方を確認する際のポイントは、お子様が同じ戸籍にいるか、別の戸籍にいるか、何歳かです。例えば、結婚した子供は親の戸籍から出ていくため、親と子が別々のとなり、親の氏の変更だけでは、お子様の姓までは自動的に変わりません。

また同じ戸籍に15歳以上のお子様がいらっしゃる場合、同意書が標準的な添付書類として挙げられています。成人していても親と同じ戸籍にいる場合がありますので、年齢だけで判断せず、戸籍の内容を確認します。

ご家族での変更を希望される方は、ご本人とお子様それぞれの現在の姓、変更したい姓、年齢、戸籍が同じかどうかをお知らせください。戸籍の構成に応じて、必要な手続きをご案内します。

帰国せずに戸籍の姓を変更したい方へ

メンバー紹介

日本の家庭裁判所での手続きが必要と聞いて、「何度も帰国しなければならないのでは」と心配される方もいらっしゃいます。海外で仕事や子育てをしている方にとって、手続きのためだけに帰国することは、時間と費用の負担になります。

氏名変更相談センターへご依頼いただいた海外在住の方は、基本的に日本へ帰国せずに戸籍の姓を変更する手続きが完了しております。弊所では、戸籍等の取得、家庭裁判所に提出する書類の作成、裁判所から届く書類への対応支援などを通じて、日本の戸籍の姓を変える手続きをサポートしています。

手続きの途中で、裁判所からご本人への確認や追加資料の提出を求められることがあります。ご相談時に事情をお伺いし、帰国の必要性も含め、どのように進められるかをご案内します。

なお、このご案内は、米国で使っている姓に日本の戸籍の姓を合わせる手続きについてのものです。米国のグリーンカードや運転免許証自体の記載変更が必要な場合は、各発行機関の案内をご確認ください。

海外から日本の戸籍の姓を変える手続きについては、「海外在住の日本人の改名手続き|帰国せずに済ませる方法は?」でも解説しています。

よくあるご質問

answer はてな

結婚から20年以上経っています。今からでも相談できますか?

ご相談いただけます。婚姻後6か月を過ぎている場合は、家庭裁判所での手続きを検討します。結婚からの年数に加え、現在使用している姓や、変更を希望する理由をお知らせください。ご相談いただいた内容を元に、どのくらいの可能性で家庭裁判所より許可されるかを弊所なりの考えをお伝えいたします。

通称名の実績がないと、変更は難しいですか?

外国人配偶者の姓に変える場合と、ふだん使っている通称名に変える場合では、確認する内容が異なります。グリーンカードや米国の運転免許証など通称名の実績が無くとも変更できる場合もございますので、まずはお問い合わせいただければと思います。

子どもが成人しています。親と一緒に相談できますか?

親子でご相談いただけます。ただし、成人しているかどうかだけで手続きは決まりません。お子様の戸籍が同じか別か、現在の姓と希望する姓は何かを確認し、それぞれに必要な対応をご案内します。

海外渡航の予定がある場合、姓の変更はいつ進めればよいですか?

家庭裁判所から氏の変更許可を頂いても役所へ届け出をしなければ、戸籍上の氏は変更されません。そのため、海外旅行や国際線を予定されている方も、弊所で対応させていただければ家庭裁判所のお手続きは旅行前より進め、パスポートの氏の変更は帰国された後に行う、という対応も可能です。

戸籍を変えれば、すべての書類の名前も自動で変わりますか?

自動では変わりません。戸籍の姓を変更した後、パスポートや各種契約・本人確認書類について、必要な変更手続きを行います。今回のように米国の書類はすでに希望する姓になっている場合も、変更後の日本のパスポートと、姓の綴りや名の表記が合っているかを確認してください。

まとめ

グリーンカードや米国の運転免許証と日本のパスポートで姓が違う場合、パスポートに配偶者の姓が括弧書きされていても、機械による氏名の照合で確認が必要になることがあります。

日本の戸籍とパスポートの姓を、米国で使っている配偶者の姓にそろえるには、戸籍の姓を変える手続きと、その後のパスポート申請を順に進めます。

日本の戸籍の姓をグリーンカード等とそろえる手続きは、氏名変更相談センターにお任せください。初回の相談は無料ですので、まずはお気軽にご相談いただければと思います。

 

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