・婚姻届の外国人配偶者の氏名を間違えて提出してしまった。
・外国人配偶者のカタカナ氏名を正しい発音に訂正したい。
・外国人配偶者が本国の名前を変更したので、戸籍の記載も変更したい。
弊所ではこのような外国人配偶者の氏名表記を変更・訂正したいというご相談をいただくことがあります。
この記事では、そのような「外国人配偶者のカタカナ氏名の変更方法・訂正方法」を詳しく解説します。
該当される方は次の記事もご参考下さい。
「家庭裁判所での戸籍訂正の手続きを丁寧に解説|許可判例なども説明」
目次
外国人配偶者の氏名は、戸籍にどのように記載されるの?
まず外国人と国際結婚した場合、戸籍にはどのように記載されるのでしょうか?
下の画像は外国人と国際結婚した際の戸籍の見本です。
国際結婚した場合、日本人配偶者が筆頭者となる新しい戸籍が編製され、身分事項に婚姻の旨が記載されます。
外国人の方には、上の画像の③「戸籍に記録されている者」のような項目が追加されるわけではなく、日本人の婚姻の箇所に、外国人配偶者の国籍や氏名などの情報が記載されるのみとなります。
上の画像の④の箇所を拡大した画像がこちらになります。
身分事項:婚姻
【婚姻日】令和●年●●月●●日
【配偶者氏名】▲▲▲(カタカナで記載されます)
【配偶者の国籍】●●●国
【配偶者の生年月日】西暦●年●●月●●日
【従前戸籍】●●●●(本籍地)▲▲▲(筆頭者)
赤下線部のように、外国人配偶者の氏名は原則、カタカナで登録されます。
それでは戸籍に記録される外国人配偶者の氏名の表記は、どのようにして登録されるのでしょうか?
戸籍上の外国人配偶者の氏名は、どうやって決まるの?
戸籍上の外国人配偶者の氏名はどのようにして決まるのでしょうか?
戸籍上の外国人配偶者の氏名は「婚姻届の氏名欄に記載した名前」が、そのまま戸籍に記載されます。
どんな氏名が登録できるの?
婚姻届の外国人配偶者の氏名は、原則、日本式の順番でカタカナで記載しなければなりません。
また外国人配偶者の発音についてのルールは特にないため、たとえば「Stewart」さんだと「スチュアート、スチュワート、ステュアート」など、どのカタカナ表記でも登録することが可能です。
その他、どのような氏名が登録できるかは「外国人の正しいカタカナ氏名の書き方は?」をご参考ください。
外国人配偶者の氏名を変更・訂正するには?
戸籍に記載されている外国人の配偶者氏名を変更・訂正するには、どうすればいいのでしょうか?
外国人配偶者の表記が戸籍の届出後に変更があった場合、戸籍の変更手続きとなります。
一方、外国人の配偶者氏名が戸籍の届出時に誤っていた場合は、戸籍の訂正手続きとなります。
それぞれ詳しく解説します。
外国人配偶者の氏名を変更するには?
婚姻届など戸籍に関する届出の後に、外国人配偶者の氏名や国籍などの変更があった場合、戸籍の訂正手続きではなく、戸籍の変更手続きを役所で行います。
手続きのおおまかな内容は次の通りです。
手続きの場所
…本籍のある役所または日本領事館
手続きに必要なもの
①申出書
②名前の変更を証する書面
③外国人配偶者のパスポート
④②③の和訳文
費用・料金
…無料
①の申出書は役所の方に、外国人配偶者の氏名が変わったことをお伝えいただければ、役所の方が用意してくれます。
②の名前の変更を証する書面とは、外国人配偶者が本国で変更したことが分かる書類(本国での裁判所の許可証など)を添付します。
なお、この申出ができるのが日本人の方に限られます。ご注意ください。
外国人配偶者の氏名を訂正するには?
婚姻届など戸籍に関する届出時に外国人の配偶者氏名を誤っていた場合は、戸籍の変更手続きではなく、戸籍の訂正手続きを行います。
戸籍に記載されている外国人配偶者のカタカナ氏名を訂正するには、原則「家庭裁判所の手続き」と「役所の手続き」が必要となります。
ただし、役所が間違えて登録した氏名など役所側の間違いで戸籍を訂正する場合、家庭裁判所の手続きが不要となる場合がございます。
① 役所側の間違いなど訂正内容が明らかな場合
…役所が法務局の許可を得て役所で訂正
② ①の場合で訂正が軽微で身分関係に影響がない場合
…法務局の許可なく役所で訂正
③ ①②以外の場合
…家庭裁判所での許可後、申立人が役所へ訂正の届出
おおまかにまとめますと、役所側の間違いにより戸籍の内容が誤っている場合は役所だけでの手続きで戸籍が訂正され、届出人などの間違いにより戸籍の内容が誤ってしまった場合は、裁判所の手続きで認容された後、役所に届出をすることになります。
戸籍の訂正は簡単にできるの?
家庭裁判所で戸籍の外国人配偶者の訂正は簡単にできるのでしょうか?
法律には次のようなものがあります。
「戸籍の訂正」 戸籍法第113条
戸籍の記載が法律上許されないものであること又はその記載に錯誤若しくは遺漏があることを発見した場合には、利害関係人は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍の訂正を申請することができる。
つまり家庭裁判所から戸籍に記載されている内容が「法律上許されないものであるか、その記載が錯誤若しくは遺漏である」と認められなければ、戸籍訂正は却下されます。
家庭裁判所の詳しい手続きは、後程詳しく説明します。
ミドルネームも訂正できるの?
外国人配偶者の氏名であれば、ラストネーム、ミドルネーム、ファーストネーム、どれでも訂正することはできます。1つだけ訂正することもできますし、全てを同時に訂正することも可能です。
子供の親の欄は自動的に訂正されるの?
外国人配偶者の氏名を訂正しても、自動的に戸籍上の子供の親の欄は訂正されません。
外国人配偶者氏名の訂正申し立てをする際に、一緒に子供の親の欄の訂正を申し出ることで、子供の親の欄は訂正されます。
家庭裁判所での戸籍訂正の手続きについて
誰が手続きできるの?
家庭裁判所で戸籍の訂正手続きができる人は、次の通りです。
・戸籍の記載につき身分上又は財産上の利害関係者
・戸籍の届出人
・戸籍に記載された本人
※申立人が15歳未満のときは,親権者等の法定代理人が手続きをします。
今回のように、外国人配偶者の氏名を訂正する場合、日本人配偶者も申し立てが可能です。
どこで手続きするの?
戸籍訂正許可の手続きを行う家庭裁判所は、訂正する戸籍の本籍地を管轄する家庭裁判所です。
申し立てをする家庭裁判所が、どちらになるかは「家庭裁判所のHP」をご参考下さい。
費用・料金は?
1.収入印紙800円
2.郵便切手1000円~3000円ほど
※家庭裁判所での実費です。交通費、郵送費、戸籍謄本代などは除いております。
郵便切手の金額は裁判所によって異なります。
郵便切手の金額を調べられたい方は、管轄家庭裁判所にご連絡頂き、「戸籍訂正許可の郵便切手の金額を教えて頂きたいのですが」とお伝え頂く事で教えて頂けます。使用しなかった切手は、手続き後返却されます。
必要な書類は?
戸籍訂正申立時に家庭裁判所へ必要となる書類は次の通りです。
①申立書
こちらは家庭裁判所にあげられている申立書の記載例です。
戸籍訂正許可申立書の1P目については、記載例に沿って記載して頂ければ作成できますが、2P目の申立理由については慎重に作成する必要があります。
②戸籍謄本
申立時には訂正すべき戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本を提出します。
戸籍謄本については、発行から3か月以内のものを求められます。
また、本籍地が遠方の方は、戸籍謄本を郵送で取得することも可能です。
「○○役所 戸籍 郵送」とインターネットで検索して頂ければ、請求方法が出てきます。
海外に在住されている方など、郵送ですら厳しい場合は、氏名変更相談センターで代行取得することが可能です。
③戸籍訂正に関する資料
事案によって証明する書類は異なります。
例えば、外国人配偶者のカタカナ氏名を正しい発音のカタカナ氏名に訂正する場合、その正しい発音が分かるような資料などを準備していきます。
④収入印紙・郵便切手
家庭裁判所での費用・料金は次の通りです。
※家庭裁判所での実費です。交通費、郵送費、戸籍謄本代などは除いております。
1.収入印紙800円
2.郵便切手1000円~3000円ほど
まとめ
外国人配偶者の氏名の変更や訂正方法、登録できる氏名についてまとめさせていただきました。
戸籍訂正に関する情報は余り多くは出回っておりませんが、こちらの記事が少しでも参考になれば幸いです。
戸籍訂正でお悩みの方は
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