苗字を変更した女性が離婚をする場合、苗字を旧姓に戻すか、元夫の姓のままにしておくかを決めなければなりませんが、離婚をした場合、一般的にどちらを選択する人が多いのでしょうか?
この記事では、「アンケート調査による離婚後、苗字を変更した人、しなかった人の割合とその理由」を記載しております。
目次
離婚すると苗字はどうなるの?
まず離婚をすると苗字はどうなるのでしょうか?
婚姻時、苗字を変えていない人
…離婚後、苗字はそのまま(変わらない)
婚姻時、苗字を変えた人
…原則:婚姻前の姓(旧姓)に戻る
…例外:離婚日から3カ月以内に「婚氏続称の届出」を役所に提出することで、婚姻時の姓を名乗ることができます
結婚した際、苗字を変えなかった人は、離婚しても苗字は変わりませんが、結婚した際、相手の苗字に変えた人は、離婚すると婚姻前の姓(旧姓)に戻すか結婚時の姓を継続するかを選択することになります。
離婚後、苗字を変えない人、旧姓に戻す人の割合は?
令和5年度は、離婚の際、苗字を変えなかった人の割合は42.5%、旧姓に戻した人の割合は57.5%となっています。(日本政府の戸籍統計より)
また過去10年間の記録では、離婚後、苗字を変えない人の割合は37.9%~42.5%の間で推移しており、年々、苗字を変えない人の割合は増えています。
それでは、次にどのような理由で旧姓、婚姻時の姓を選択されるのでしょうか?
離婚後、苗字を変えない理由
こちらは弊所が行ったアンケートで、離婚後も結婚時の苗字を名乗り続けた女性233人に、結婚時の苗字を選択された理由を聞いたものになります。
・苗字が変わることで子供の生活に影響を与えたくなかった…42.5%
・通帳や免許証など苗字の変更手続きが面倒だった…37.2%
・周りに離婚の事実が知られたくなかった…7.9%
・その他の理由…10.7%
離婚後、婚姻時の苗字を名乗り続けられる理由で1番多かったのが「苗字が変わることで子供の生活に影響を与えたくなかった」という理由でした。
氏名変更相談センターでは「婚姻時の姓」から「旧姓」に変更されたいという御相談を多く頂きますが、その多くが離婚した際は子供が未成年であったので元夫の苗字を選択したが、子供が成人したので、旧姓に戻したいというものです。
※手続きについては「離婚して子供が大きくなったので旧姓に戻したい!手続きを解説」をご参考ください。
またその他の理由(10.7%)には次のような内容もありました。
・子供と同じ苗字でいたかった
・旧姓が嫌いだった
・義父との約束であったから
・仕事の関係上
・姓名判断
・なんとなく
それでは離婚の際、旧姓に戻された方は、どのような理由で旧姓に戻すのでしょうか?
離婚後、旧姓に戻す理由
こちらも弊所が行ったアンケートで、離婚後、旧姓に戻した女性380人に、旧姓に戻された理由を聞いたものです。
1.元夫の苗字を名乗るが苦痛なため…46.4%
2.実家に戻るため…21.8%
3.旧姓に戻しても子供の生活に影響がないため…7.9%
4.親の姓が途絶えるため…6%
5.結婚時の苗字を名乗られることを知らなかった…4.8%
6.実家のお墓を継ぐため…3.8%
7.その他の理由…9.3%
離婚後、旧姓に戻される1番多い理由が「元夫の苗字を名乗るが苦痛なため」というものでした。
3番目に「旧姓に戻しても子供の生活に影響がないため」とありますが、これは具体例でいうと、子供が結婚などをしており、親が旧姓に戻したとしても子供の苗字はそのままで影響がないなどという意味です。
またその他の理由(9.3%)には次のような内容もありました。
・元夫から旧姓に戻すように言われた
・婚姻中も旧姓を名乗り続けていた
・子供から要望があった
・結婚時の苗字が珍しい苗字だった
・戻すのが当たり前と思った
・なんとなく
離婚した場合、旧姓に戻すことが当たり前と思われていた方も多いようです。
離婚後に苗字を変えないメリット
離婚後に苗字を変えないメリットは次の通りです。
子どもの苗字を変えずにそのままにしておける
離婚した際、親権者と子供の苗字を別々にしておくことは可能ですが、基本的には親権者と子供は同じ苗字にされる場合が多いと思います。
そのため離婚時に親権者の苗字をそのまま変えないでおくことで、子供の苗字も変わらずにすみ、学校などでの呼び方が変わらないなど、生活環境への影響を少なくすることが可能で、それにより子どもが受けるストレスも少なくなります。
離婚した事実が周囲に知れ渡りにくくなる
苗字が変わらないので、離婚した事実が周囲に知られにくくなります。苗字を変えなかったとしても、職場などで離婚した事実は、どこからともなく漏れてしまうかもしれませんが、できる限り、不要な気を使われたくない場合は、苗字を変えない方がよいかもしれません。
運転免許証などの名義変更の手続きをしなくてすむ
旧姓へ変更した場合、多くの名義変更の手続きをする必要があります。名義変更が必要となる手続きの例として次のようなものがあります。
1.マイナンバーカード
2.健康保険証、年金
3.運転免許証
4.パスポートの変更
5.印鑑証明書
6.銀行等の口座名義
7.クレジットカード
8.不動産登記
9.生命保険、医療保険
10.車検証、自賠責保険等の変更
婚姻時の名字を名乗っていけば、上記の手続きをしなくてすみます。
離婚後に苗字を変えないデメリット
離婚後に苗字を変えないデメリットは次の通りです。
気持ちのリセットが難しい
元配偶者の名字を名乗り続けるので、気持ちの切り替えが難しいかもしれません。相手の苗字を名乗り続けるので、旧姓に比べて相手のことを意識してしまう機会が多くなるのではないでしょうか。
元配偶者とその親族から旧姓への変更を促されることがある
元配偶者やその親族から「離婚をしたんだから、○○家の名前を名乗らないで欲しい」と旧姓への変更を催促される場合がございます。
そのような場合、結婚時の氏を名乗り続けることで相手に気を使わなければならなくなります。
あとで旧姓に戻す場合、家庭裁判所の手続きが必要
離婚の際、結婚時の姓を名乗ることを選択し、その後、旧姓に戻す場合、家庭裁判所の手続きが必要となってきます。
この場合、役所の手続きとは異なり、家庭裁判所が許可しなければ、旧姓への変更は認められません。比較的、緩やかな判断基準のため許可を頂ける場合がほとんどですが、注意は必要です。
詳しい手続きは「離婚後、苗字を旧姓に戻す手続きを丁寧に解説」をご参考ください。
再婚後に離婚した場合、旧姓を選択しにくくなる
離婚した際に選択できる苗字は、「婚姻前の姓」か「婚姻時の姓」となります。そのため、Aさんが離婚後もBさんの苗字を名乗っており、Cさんと再婚した場合、Cさんとの離婚時に選択できる苗字がBかCとなってしまい、もともとの旧姓を選択することはできなくなります。
この場合、もともとのAという旧姓に戻すには家庭裁判所の手続きが必要となります。
親や親族と違う苗字になる
婚姻時の姓を選択することで、親や親族などと違う苗字になります。
それにより親と同居することとなった場合には、苗字が違うことの説明が必要となってくる場面が出てくるかもしれませんし、お墓を引き継ぐ際に、親族から旧姓に戻すよう強く言及されるなどの事情が出てくることもあるかもしれません。
しばらくして旧姓に戻すには?
離婚後、しばらくしてから「旧姓」に変更する場合、家庭裁判所の許可を得た上で苗字を変更する必要があります。
「離婚して10年、やっぱり旧姓に戻したい!手続きを解説」に詳しい手続きを記載しておりますのでご参考下さい。
まとめ
離婚された後、旧姓に戻される方、結婚時の苗字を名乗り続けられる方の割合やその理由について、まとめさせて頂きました。
離婚後、苗字について旧姓に戻すべきかどうかを考えられている方は、この記事を参考にして頂けたらと思います。
離婚後、しばらくされて旧姓に戻される方などは、家庭裁判所の手続きが必要となります。家庭裁判所での手続きがご不安な方は、司法書士事務所エベレスト大阪までお気軽にご相談下さい。