イギリスでは結婚後の姓を使っているのに、日本のパスポートには結婚前の姓が残っている。日本のパスポートも同じ姓にそろえたい場合は、先に日本の戸籍の姓を変え、その後、新しい姓のパスポートを申請します。
日本で必要な手続きは、結婚からの期間と、変更したい姓によって分かれます。配偶者(夫や妻)の姓に変える場合と、二つの姓を組み合わせる場合について、イギリスに住んだまま進める方法も含めて解説します。
目次
イギリスで使う姓に、日本の戸籍とパスポートをそろえるには?

外国人と結婚しても、日本の戸籍の姓は自動では変わりません。日本のパスポートも戸籍に合わせて作られるため、イギリスで配偶者の姓を使い始めても、日本側の姓は結婚前のまま残ります。
例えば、イギリスでは「SMITH」を使い、日本の戸籍は「山田」のままの方が、日本側もそろえたい場合は、次のような変更を目指します。説明用の表記例です。
| 書類 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| 日本の戸籍 | 山田 | スミス |
| 日本のパスポート | YAMADA | SMITH |
このように、戸籍の姓を変えてから、パスポートの姓を変える順番になります。手続きの名称に出てくる「氏」は、姓・苗字と同じ意味です。
結婚から6か月以内なら、届出で配偶者の姓に変更できる
外国人との結婚が成立してから6か月以内に、その配偶者の姓へ変える場合は、「外国人との婚姻による氏の変更届」を提出します。この場合、家庭裁判所の許可は必要ありません。
6か月は、日本に婚姻届を出した日ではなく、法律上結婚が成立した日から数えます。イギリスで先に結婚した場合は、その結婚が成立した日が基準です。
イギリスから届け出るときは、お住まいの地域を担当する日本大使館・総領事館や、本籍地の役所に提出方法を確認してください。期限が近い場合は、郵送にかかる日数も含めて確認しましょう。
6か月を過ぎた場合や複合姓に変える場合は、家庭裁判所の許可が必要
結婚から6か月を過ぎている場合は、日本の家庭裁判所で姓の変更を許可してもらい、その後に氏の変更届を提出します。6か月を過ぎると、姓を変えられなくなるわけではありません。
また、日本の姓と配偶者の姓を組み合わせる「複合姓」に変える場合も、家庭裁判所の許可が必要です。こちらは結婚から6か月以内でも、届出だけでは変更できません。
詳しい手続きは、国際結婚後の苗字の変更手続きをご覧ください。
eVisaの姓もそろえたい場合は、パスポートの氏名を確認

eVisa(イービザ)は、イギリスに滞在できる資格や条件をオンラインで確認する仕組みです。英国ビザ・移民局(UKVI)のアカウントから確認できます。
eVisaの姓を変えたい場合も、日本のパスポートにどの姓が載っているかが関係します。英国政府は、特別な事情がある場合を除き、外国籍の方がeVisaの氏名を変更する際に、パスポートの氏名もそろえるよう求めています。
ふだん使っている姓であっても、パスポートの姓を変えずにeVisaだけ変更できるとは限りません。次の二つを分けて考えましょう。
- eVisaに名前の記載ミスがある場合:英国政府の窓口へ誤りを報告し、訂正を進めます。
- 結婚後の姓に統一したい場合:日本の戸籍とパスポートの姓を変えたうえで、UKVIアカウントの氏名・パスポート情報を更新します。
単なる記載ミスを直すために、日本の戸籍まで変える必要はありません。日本側の姓を変えたい場合の、変更後の手続きは後半で説明します。
参考:GOV.UK「Use and change of names guidance」/「Report an error with your eVisa」
パスポートの括弧書きやDeed Pollで、戸籍の姓も変わる?

パスポートに配偶者の姓を括弧書きで載せたり、イギリスで名前を変える書類を作ったりしても、日本の戸籍の姓は変わりません。それぞれ、次のような違いがあります。
括弧書きでSMITHと載せても、YAMADAは変わらない
日本のパスポートには、一定の条件を満たす場合、戸籍の姓の後に、配偶者の姓などを括弧書きで載せられます。これを「別名併記」といいます。
例えば、姓の欄が「YAMADA(SMITH)」となっていても、戸籍の姓は「山田」のままで、括弧の外の「YAMADA」も変わりません。括弧内の「SMITH」は、パスポートのICチップにも記録されません。
括弧の外の姓も「SMITH」にしたい場合は、最初の章で説明した、戸籍の姓を変える手続きを進めます。
Deed Pollは、イギリスで名前の変更を証明する書類
Deed Poll(ディード・ポール)は、名前を変更したことを証明する文書です。イギリスの銀行などで登録名を変える際に使われますが、作成しただけで日本の戸籍が変わるわけではありません。
また、配偶者の姓を名乗るために、必ずDeed Pollを作る必要があるわけでもありません。英国政府は、婚姻証明書のコピーを登録先に示す方法を案内しています。
すでにDeed Pollを作成している方も、日本の戸籍の姓をそろえるには、日本側の変更手続きが必要です。
参考:GOV.UK「Change your name by deed poll」
家庭裁判所で姓を変えるために、伝える理由と用意する書類

家庭裁判所に姓の変更を申し込む手続きを「氏の変更許可の申立て」といいます。許可を受けるには、法律でいう「やむを得ない事由」が必要です。申立てでは、なぜ日本の戸籍の姓を変える必要があるのかを、結婚の経緯やイギリスでの生活状況とともに説明します。
例えば、イギリスでは配偶者の姓で生活していることや、日本のパスポートを使う場面で姓の違いを説明していることなど、実際の事情を伝えます。
お子様の姓もそろえたい場合は、親子が同じ戸籍にいるか、年齢、変更したい姓を確認します。同じ戸籍にいる15歳以上の方の同意書は、裁判所が基本的な添付書類として案内しています。別の戸籍にいるお子様の姓は、親の姓を変えても自動では変わりません。
詳しい手続きは、国際結婚後の苗字の変更手続きをご覧ください。
戸籍の姓を変えた後は、パスポートとeVisaをどう変更する?

家庭裁判所の許可が必要な場合は、次の順番で進めます。ビザを申請中の方や渡航予定がある方は、後述の注意点も先に確認してください。
- 家庭裁判所の許可が確定する。
- 氏の変更届を提出し、戸籍の姓を変える。
- 新しい姓で、日本のパスポートを申請する。
- 新しいパスポートを受け取った後、UKVIアカウントの氏名・パスポート情報を更新する。
裁判所の許可だけで戸籍の姓が変わるわけではありません。氏の変更届には、裁判所の許可内容が書かれた「審判書謄本」と、許可が確定したことを証明する「確定証明書」を添付します。
イギリスからの届出方法は、日本大使館・総領事館や本籍地の役所に確認してください。戸籍に新しい姓が記載されてから、パスポートを申請します。今のパスポートと同じ有効期限の新しいパスポートを申請する方法もあります。
参考:岩国市「氏の変更」/在英国日本国大使館「残存有効期間同一旅券」
SMITHなど、希望するアルファベットのつづりを申し出る
戸籍を「スミス」に変えても、パスポートの姓が自動的に「SMITH」になるわけではありません。パスポートを申請するときに、イギリスで使っているつづりにしたいと申し出ます。
そのつづりを確認できる婚姻証明書の原本や、配偶者の有効なパスポートなどを用意してください。複合姓の方は、二つの姓の順番や表記方法も確認します。
下の名前やミドルネームにも違いがある場合は、別に確認が必要です。姓の変更だけで、日本の戸籍の下の名前にミドルネームが加わることはありません。
ビザ申請中や渡航予定がある方は、変更する時期も確認
英国政府は、ビザ申請の結果を待っている間は、UKVIアカウントの氏名やパスポート情報を変更できないと案内しています。申請中の方は、パスポートの姓を変える前に、いつ情報を更新できるかをUKVIに確認してください。
渡航前には、新しいパスポートがUKVIアカウントに登録されているか、eVisaの内容が正しいかを確認します。航空会社に伝える氏名やパスポート情報も一致させる必要があります。航空券を予約済みの方は、予約名などの変更が必要か、航空会社にも確認しましょう。
参考:GOV.UK「UKVIアカウントの情報更新」/「Travel with your eVisa」
帰国せずに戸籍の姓を変えたい、イギリス在住の方へ

イギリスに住んでいるため、日本の家庭裁判所や役所へ行くのが難しい方もご相談ください。氏名変更相談センターへご依頼いただけた際は、基本的に帰国いただかずお手続きは完了しております。
なお、弊所が支援するのは、日本の戸籍の姓を変える手続きです。日本のパスポートを受け取るときは、ご本人が日本大使館・総領事館などの窓口へ行く必要があります。また、英国のビザ申請やUKVIアカウントの更新は、英国政府の案内に沿って進めてください。
海外からの手続きについては、海外在住の日本人の改名手続き|帰国せずに済ませる方法は?でも解説しています。日本側の姓をそろえたい方は、下記のお問い合わせからご相談ください。
